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航空機産業に更なるコスト削減の波、到来を予想
デジタル・トランスフォーメーションやアディティブ加速も
新型コロナウイルス危機によって航空業界は短期間の間に大きく様変わりしてしまっており、大手機体メーカーも経営危機に直面。経営立て直しに向けた対策が急務となっている。
本紙のインタビューに応じたデロイト トーマツの桐原祐一郎氏(パートナー)は、その一環として「航空機産業のものづくりは変化せざるを得ない」とみており、ものづくりを変化させてコスト削減を一層加速していくことになることを示唆した。
コスト削減の一環として、「製造・設計においても、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、デジタルを使った設計・ものづくりが増えることになるだろう」ことに言及。ものづくりの効率化を深掘するために「(サプライヤーは)設計段階からコラボレーション環境ツールをどれだけ揃えることができるのかということが鍵の一つとなる」ことにも触れた。
さらには、「3Dプリンターでスペアパーツを製造するというような話は、これから加速していくことになるだろう」とも話した。
デジタル・トランスフォーメーション、アディティブ・マニュファクチャリングといった分野は、日本の航空機産業が「苦手」とする分野だ。この点について桐原氏は「日本の航空機産業は、大手ならば三菱重工、川崎重工などもそうだが、航空機産業以外の様々な製品を数多く有している。航空以外のところでは、デジタル・トランスフォーメーションに取り組み始めていることから、まずは他の事業部で取り組みはじめているものを、しっかりと航空機産業にも横展開しようということが一つの鍵だろう」とコメントした。
さらに、「エアバスなどのように、外部からその道の専門家を招聘しなければならない」として、全社的に企業風土を含めて改革に取り組まなければ、動きの早い欧米などには付いて行くことができないと警鐘を鳴らした。
現場力という日本の強みが弱みに変化
競争力源泉、世界は現場にあらず
新たな競争力の源泉の発見を
自前もしくはM&Aで競争力源泉づくりを
※写真=新型コロナで航空機産業のものづくりが大きな変化を強いられる可能性も。写真はボーイングの737型機組立ラインの一部(提供:ボーイング)