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文科省、P2P市場狙い高頻度宇宙往還型輸送機開発へ
年内に民間体制構築、2040年代前半実用機打ち上げ
文部科学省が、高速2地点間輸送(P2P)市場などの取り込みを狙った高頻度往還飛行型宇宙輸送システムの研究開発に乗り出す検討に入ったことが分かった。官民共同のプロジェクトとしながらも、民間主導型のプロジェクトとして体制を構築する。早期にプロジェクトを開始するために、年度内にも民間の体制構築を目指す方針だ。
文部科学省としては官民連携でプロジェクトを進めていく考えだが、将来のP2P市場取り込みに向けた動きが民間で盛り上がりする気運が見られることから、プロジェクトはあくまで民間主導型の開発とし、年内にも民間の体制を構築する方針だ。その上で、2025年までに必要な要素技術などの洗い出しを行うことにしており、2030年始めには飛行実証を実施して、2040年代前半の実用機打ち上げを目指す。ちなみにP2P輸送用途に限って開発するものではなく、衛星を低軌道に投入することなども想定する。
文部科学省によれば、P2P輸送用途について今後大きな市場を期待することができるとみており、2040年時点における市場予測は現段階で困難としながらも、既存の旅客機輸送の一部を代替すると仮定して概算すると、日本発着ベースで年間約5.2兆円の市場規模が見込まれる可能性があることに言及。民間主導型の官民共同プロジェクトとする理由としては、JAXAが実用に耐えうるレベルまでの技術の研究の一部を担うとはいえ、一方で開発する機体の受け皿が無ければ意味のないものとなってしまうとして、あらかじめ民間の体制を構築することにした。
文部科学省としては、開発プロジェクトの進捗状況を5年毎にレビューする方針で、開発を続行するか否かを含め、研究開発計画および官民の役割分担の見直しを図る。さらに、国としては有人飛行実施に際しての安全規制・法制度などの対応の検討を進めていく考え。
2030年頃にはH3に続く再使用ロケット打上
再使用ロケット技術を高頻度往還システムに
P2P用途のシステムはどんな形態に?
ロケットと有翼ハイブリッド形態など視野
※画像=文部科学省が高頻度往還飛行型宇宙輸送システムの研究開発に乗り出す。民間主導型の官民プロジェクトとして開発する。写真はスペースウォーカーが研究開発に取り組んだ小型実験機(提供:スペースウォーカー)