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三菱日立パワーらが目指すFT合成バイオジェット燃料
パイロット規模は一部詳細設計に、12月にも工事着手
三菱日立パワーシステムズは、中部電力、東洋エンジニアリング、そして宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、噴流床ガス化技術とマイクロチャネルFT(フィッシャー・トロプシュ)合成技術を組み合わせたバイオジェット燃料一貫製造設備の建設に踏み切る。この設備はパイロットスケールの設備。昨年5月からスタートし、昨年度は基本設計と一部詳細設計に踏み込んだことが明らかになった。ちなみにこのパイロットプラントは、中部電力の新名古屋火力発電所内に設備を建設する。なお、4者の研究開発はNEDOプロジェクトの一環で進められているもの。
同社によれば、「今年12月中にも一部の土建工事に着手して、年度内にも終了する。来年度には電気工事、試運転まで実施する」計画だ。最終的に生産されたバイオジェット燃料は、JAXAが試験を担当する予定で、エンジン試験などの利用検証については、来年度に設備の準備を進めて、2020年度に準備と試験を行う計画にあるという。
三菱日立パワーシステムズらが取り組むバイオジェット燃料の生産プロセスによれば、まずは中部電力が木質バイオマスなど、バイオマス原料を調達する。それを三菱日立パワーシステムズがガス化炉へと供給する。ガス化炉では酸素と水蒸気をガス化剤として、バイオマス原料をガスへと変換し、それを冷却することになる。冷却源はガス化剤の水蒸気を用い、冷却した後には除塵するという。そして除塵した生成ガスを圧縮して、原料ガスを生成する。その後、液体燃料合成プロセスであるFT合成を行うことになる。
FT合成は水素と一酸化炭素を原料に、触媒を利用して液体炭化水素の合成を行うプロセス。その後は水素化分解し、最後に蒸留をして、最終的にはジェット燃料と副産物として軽油とナフサを製造することができる。