記事検索はこちらで→
2019.03.08

WING

航空法と運輸安全委設置法改正法律案が閣議決定

航空機輸出国体制整備や飲酒問題対応など

 政府は3月8日、国産航空機輸出国としての体制確保や無人航空機の普及に向けた安全性向上に向けた飛行ルール、さらには頻発している飲酒問題への対応、航空機のデジタル化・高度化に対応した合理的な制度の見直しなどを盛り込んだ「航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。運輸安全委員会設置法の一部改正では、国産機就航に伴う同委員会の事故調査の適確な実施に向けて、航空機が航行していない状態に生じた航空事故の兆候を調査できるような措置を講じるほか、事故などの調査を終える前に原因関係者などに対して勧告を行うことができるようにする。
 国土交通省としてはこうした体制整備やルールの強化、制度合理化を進めることで、国産機就航後の事故の未然防止を図る方針だ。これにより、国産機の機材不具合に来委員した航空事故発生件数を、MRJが就航を開始する2020年からの2029年までの10年間で0件とすることを目指す。また、無人航空機の事故などの発生率についても、2017年には許可承認1万件あたりの事故等の発生件数が20.2件起きたが、これを2020年には半分の10.1件に抑えることを目指す。

 

航空機設計国としての責務
不具合時にメーカーに是正対策を指示など

 

 三菱航空機が国産旅客機MRJの開発をすすめ、いよいよ航空局による型式証明飛行試験がスタートするなど、今後は国としても航空機輸出に向けた体制を整えていかなければならない。国際民間航空条約における航空機輸出国(設計国)の責務を果たすために、国産旅客機の継続的な安全運航維持のための仕組みを整備していくことを求められる。そこで国土交通大臣が、国産航空機メーカーから当該機の不具合情報を入手し、メーカーに対して改修などの是正対策の構築を指示できる仕組みを創設することなどに取り組む。さらに、国内外の国産航空機の使用者が迅速かつ適切に修理・改造できるよう、航空機メーカーが作成した修理・改造の手順を国土交通大臣が承認する制度を創設する。こうした国産機の安全運航維持の仕組みを整備することで、事故防止などの安全性に対する信頼を確保し、国としてもその円滑な輸出をバックアップしていく構え。

 

業界に蔓延る飲酒問題で罰則強化
無人機ルールも強化、報告徴収・立検制度新設も

 

機体高度化に対応した合理的な制度に
装備品1点毎の確認廃止でメーカー確認に一本化など

 

※写真=MRJによって再び航空機輸出国(設計国)になる日本。国が信頼性を担保して円滑な輸出をバックアップする