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2019.03.20

ウイングトラベル

東アジアの訪日客鈍化「クルーズ減少分のカバー課題」

田端観光庁長官「好調な東南アジアはプロモ強化」

 観光庁の田端浩長官は3月19日の業界紙会見で
2月の訪日外国人旅行者数において、東アジア4市場の伸び率が鈍化したことについて「春節時期は好調であったが、中国発着のクルーズ本数が減少したことが響いた。クルーズ市場は調整局面に入っており、この部分をどのように補うかが課題」と指摘した。一方で、東南アジアに関してはタイやベトナムを中心に重点市場で好調に推移しており「この好調を持続させていけるよう、引き続きプロモーションを強化していきたい」という考えを示した。
 2月の訪日外国人旅行者数は前年同期3.8%増の260万4300人となり、2月単月としては過去最高となった。ただ、訪日需要をけん引していた東アジア4市場(中国、韓国、台湾、香港)については伸び率が3.8%増にとどまった。
 これについて田端長官は「中国市場については、中国発着のクルーズ船の寄港数が46本から34本と約26%減となったことが大きかった」と指摘した。中国のクルーズ市場は欧米の船会社が相次ぎ参入し過当競争となったことで、昨年から今年にかけて運航本数を絞り込む動きがでており、これが日本市場に波及した格好だ。
 田端長官は「中国クルーズを展開している船会社は2020年以降は再び日本への配船を強化するという話を聞いており、将来的にはプラス方向に転じていくことが期待されるが、足元の減少分をカバーしていくために打てるべき対策はやっておきたい」とした。
 また、台湾や韓国市場の伸び悩みについては「両国・地域からのアウトバウンド需要が鈍化傾向となっているのが影響している。さらに台湾については現地航空会社のストライキで日本路線が8便欠航したことが響いた」と分析した。
 さらに、欧州市場を見ると英国が1.2%減、イタリアが0.7%減となった。これについて田端長官は「詳細に検証していく必要はあると思っているが、英国のEU離脱問題やユーロ相場の動きなど先行き不透明な情勢が影響した」とした。
 反面で東南アジア市場が好調に推移。ベトナムが68.6%増、タイが31.4%増となったのを始め、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンといったすべての重点市場がプラスとなった。東南アジアは日本への航空路線が新規就航を含めて増加したことが追い風となった格好だ。田端長官は「東南アジア重点6市場あわせて26.8%増となり、全体の数字を押し上げてくれた。引き続きプロモーションに力を入れていきたいと考えている」とした。
 一方2月の日本人出国者数は10.4%増の153万4800人となった。アウトバウンドの動きについては「韓国、中国、台湾、グアム、オセアニアが好調で需要をけん引したと聞いている。海外旅行に関しては、直近でオーストリアのウィーンやブルネイへの直行便が新規就航するなど、日本人にとって魅力的なデスティネーションへのアクセスが拡充している。そうしたよい環境を背景に、なんとか今年中にアウトバウンド2000万人が実現できればよい」という考えを示した。

 

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※写真=業界紙各社との会見に応じる観光庁の田端浩長官