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2018.04.27

ウイングトラベル

てるみくらぶ倒産等で消費者相談16.5%増

JATA、17年度相談件数、取消料関連も増加

 日本旅行業協会(JATA)は2017年度に消費者相談室に寄せられた相談状況をまとめたが、全体の相談件数は前年比5.4%増の3694件、このうち消費者からの相談件数は16.5%増の2527件だった。昨年度は3月末に発生したてるみくらぶと10月上旬のアバンティーリゾートクラブの破たんに伴い、「倒産と弁済業務」に関する相談が一時的に殺到したことが相談件数を押し上げた。また、ネット予約での申込・契約や天災、事故を契機にした取消料に関する相談が多く寄せられた。
 消費者以外からの相談に関しては旅行会社からの相談が22.0%減の681件、行政機関を含む消費者相談センターからの相談件数は2.7%減の401件だった。
 倒産と弁済業務に関する相談は689件寄せられた。このうち消費者からのものは641件となっている。特にてるみくらぶによる破産手続き開始直後の17年4〜6月の消費者からの相談件数は、前年同期比98.7%増、アバンティーリゾートクラブの営業停止発表時期が含まれている10〜12月の相談件数は94.5%増と2倍増に迫る状況となった。
 消費者相談室の鈴木宏治室長によると、「てるみくらぶの経営破たん直後は相談室だけでなく、JATAの代表番号を始め、さまざまなところから相談の電話が寄せられた」という。そうしたことから、実際の相談件数は今回発表した内容を上回る可能性が高いとした。
 アバンティーリゾートクラブ関連については、消費者自身がどの会社の募集型企画旅行だったか把握できなかったケースが多く、対応に苦慮したという。
 原因としては国内旅行で交付している書面に「旅行・企画・実施」の社名を明示していなかったことが挙げられる。また、他社の商品の受託販売にもかかわらず金額を上乗せし消費者に販売し、消費者の支払金額と受託旅行会社の旅行代金が合致しないケースも見受けられたという。さらにアバンティーリゾートクラブに関しては倒産に関するメディア報道が限定的だったため、経営破たんの事実を出発直前まで把握していない消費者も多く、直近に営業停止を知った消費者からの相談が12月中旬まで続いたという。
 倒産と弁済業務以外では「申込・契約」(262件)や「取消料」(502件)に関する相談が多く寄せられた。申込・契約に関してはネット予約における消費者の誤入力に起因する相談が多かったという。
 一例としては、JATA会員会社のサイト上における商品説明の不足や契約形態や契約相手先がどこかを消費者に伝えきれていないことにより誤解を招く結果となった事例が見られた。また、申込金を収受していないにも関わらず取消料を請求し、消費者センターに相談が入った事例があった。この事例に関しては大手旅行会社で発生しており、同様の原因による苦情が数社であったという。
 鈴木室長は「こうした基本的ミスが相次ぐと消費者から不信感を持たれることになりかねない。約款や法令につき業界内でのさらなる従業員教育が必要であるし、われわれとしても機会を見つけて周知する取り組みを行っていきたい」と述べた。

 

 取消料関連、北朝鮮問題などで相談数増加
 業務範囲外ながら海外OTA関連の問い合わせも

 取消料に関する相談は天災や事件を契機に増加する傾向がある。2017年度においては、北朝鮮のミサイル発射問題に伴い、韓国やグアムへの旅行者、日本海を航行するクルーズ船の旅行者などから相談が寄せられた。このほか、カリブ海のハリケーン、バリ島アグン山の噴火、10月の大型台風、ロンドンやバルセロナでのテロ発生に関連して相談が寄せられたケースが多かったという。
 このほか、最近のトピックスとして鈴木室長は「海外OTAとの契約に関する問い合わせが寄せられることがある」と述べた。
 JATAの消費者相談室が行う業務は旅行業法で定められた範囲内に限定されており、同法に基づいて営業していない海外OTAやメタサーチ関連のトラブルに関する相談は業務範囲外となる。
 このため、JATAでは海外事業者に関するものは国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)に相談するように誘導しているが、国内における海外OTAによる旅行商品販売が増加していることにあわせて、消費者からの相談も増えてきているものと見られる。
 また、今年1月の旅行業法改正により、登録制が導入された旅行サービス手配業(ランドオペレーター)についても消費者相談室の対応案件として新たに加わったが、4月26日までの時点ではまだ相談が寄せられていないとした。

 

※写真=2017年度の相談状況について説明するJATAの鈴木宏治消費者相談室室長