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2018.05.07

ウイングトラベル

MSCクルーズ、20年に大型客船をアジア投入

日本法人の機能強化や国内港湾への投資を検討

 MSCクルーズのジャンニ・オノラートCEO(最高経営責任者)は日本法人設立10周年記念イベントと初の日本発着クルーズの実施にあわせて来日し、2020年に日本を含めたアジア市場向けに新造船の大型客船「MSCベラッシマ」を投入すると発表した。これとあわせてオノラートCEOは日本市場の位置づけについて「重要なマーケットの1つと考えている」と述べ、2019年もチャータークルーズに加えて自主運航クルーズを実施するとともに、日本法人の体制強化や日本の港湾開発に関する投資を積極的に行っていく考えを明らかにした。
 MSCクルーズはイタリアの船会社で地中海クルーズを中心として世界各地でクルーズを展開している。
 日本市場では、2008年にMSCクルーズジャパンを設立。フライ&クルーズによる地中海クルーズ商品を日本の旅行会社向けにセールスを行ってきた。この結果、10年間で地中海クルーズに約15万人の旅客を送客し、地中海クルーズにおける日本人旅客のシェアで60%を獲得する状況となっている。
 MSCクルーズ全体の業績を見ても「この10年間で8倍の事業規模に成長することができた」とオノラートCEOは強調。さらに2026年までに「新たに10隻の新造船を投入し、年間の利用者数を現状の240万人から2倍強に相当する500万人まで増やしていきたい」という考えを明らかにした。
 今後のクルーズ市場の成長性についてオノラートCEOは「ヨーロッパ市場でもまだまだ市場拡大の余地がある。さらにこれとともにクルーズ旅行がまだまだ未開拓である日本や中国マーケットは大きな可能性を秘めている」と強調した。
 そうした状況の中で、現在2019年3月のデビューに向けて建造しているMSCベリッシマを2020年に日本を含めたアジアクルーズ向けに投入することを決定した。MSCベリッシマは同社の最大級の客船「MSCメラビリア」の姉妹船としての位置づけとなる。総重量数は約17万トン。客室数は2444室で最大乗客数は5714人となる。同社によると日本に寄港するクルーズ船としては最大級のものとなるとしている。これによりアジア市場では現在運航する「MSCスプレンディダ」とあわせて2隻体制で運航することになる。
 日本マーケットに関しては2018年にMSCスプレンディダを使用し初の自主運航による日本発着クルーズを実施。このほか、チャータークルーズも催行。ゴールデンウィーク期間中に運航した。これに引き続き2019年も日本発着クルーズを実施することを決定した。
 すでに発表しているジャパネットHDグループによるチャータークルーズを6本運航するほか、5本の自主運航クルーズを実施する。自主運航については2本が8泊または9泊の日本発着クルーズ、残りの3本は日本〜中国間の3泊程度の片道クルーズを実施する計画だ。
 20年のクルーズについてはベリッシマのスケジュールとあわせて「現在プログラムを造成中」とした。また、今後の日本での展開についてオノラートCEOは「MSCクルーズジャパンについてはセールスやコンタクトセンターに関するさらなる人員増強を検討していきたい。このほか、日本の港湾に対する投資についても検討していきたい」と述べた。
 港湾関連では現在日本の国土交通省が2020年の訪日クルーズ客500万人の実現を目的に官民連携による「国際クルーズ拠点港湾」の整備を進めている。この動きにオノラートCEOは「非常に歓迎すべき取り組みである」と述べ、国際クルーズ拠点港湾への参画に対し、前向きに検討していく考えを示した。
 オノラートCEOは「現地法人の体制強化と港湾への投資に対して積極的な姿勢を見せていることがわれわれが日本市場をいかに重要視しているかの表れなのではないか」と述べ。今後の成長戦略の中核として日本市場を位置づけていることを強調した。

 

※写真=初めての日本発着クルーズを実施するため横浜港大黒ふ頭に着岸した「MSCスプレンディダ」

 

※写真=日本での事業方針について説明したMSCクルーズのジャンニ・オノラートCEO(写真左)とMSCクルーズジャパンのオリビエロ・モレリ社長

 

※写真=MSCスプレンディダ船内で行われた日本初寄港セレモニー&日本法人10周年記念イベントの模様