ウイングトラベル
プラットフォーマーの法規制も念頭に要望活動
日本旅館協会の北原会長、OTAへの立検評価
日本旅館協会は6月11日、令和元年度の通常総会を開催したが、冒頭のあいさつで北原茂樹会長は、「積み残した労働生産性の問題、ITの問題など、様々な問題が出ている。最近も公正取引委員会がOTAに立入検査に入るなど、宿泊単価を自由に決めることができない、最低保証価格で色々な拘束がされている実態がある。こうした問題にもしっかり対処していかなければいけない」と述べ、取引環境の改善に向けて働きかけを強める考えを示した。
北原会長は、「公取委には過去にITに関する要望を行ってきたが、ほとんど門前払いされてきた。それが今年に入り、急遽立入検査が行われた。ある意味、大きな政策転換が行われた」として、公取委による立入検査が行われたことを評価した。
その上で、「G20の場でもGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の規制を強化しようという世界的な機運がある中で、ITの予約システムが一人勝ちにならないよう、しっかりと共に稼いでいけるシステムを構築し、それに伴い法律も整備することをこれから要望していかないといけない」と指摘。「自民党でプラットフォーマー透明化規制法案を議員立法で作ろうという動きもあり、陳情活動も行っていきたい」として、プラットフォーマーへの法規制も念頭にロビー活動を強化していく方針を示した。
OTAなどの流通チャネルに頼らず、宿泊施設による直販を後押しする「DRS」(旧Open Web)の活用もさらに促進する。DRSは宿の公式プランをOTAを介さずに比較サイトに直接掲載できるシステム。DRSを通じた販売額は、2017年度に前年比37.3%増の約1億2500万円、18年度に59.2%増の約1億9900万円と、取扱いを伸ばしており、システム活用を促した。
※写真=日本旅館協会の北原茂樹会長
2018年の訪日外客数、世界11位に上昇
田端観光庁長官、外国人消費拡大へ協力呼びかけ
総会後には、田端浩観光庁長官が記念講演を行った。田端長官は、「最も重要なのは消費額。人数を増やすことに加えて、滞在を長くして消費を拡大し、地域の食や工芸品などに使ってもらい、地域経済に貢献することが重要になる」と強調。2018年の外国人旅行消費額は約4.5兆円、一人当たりの旅行支出は平均15万3000円だったが、2020年には8兆円、一人当たり旅行支出を20万円まで引き上げる目標の達成に向けて、「関係者皆さんで頑張って、あと5万円上乗せしていきたい」と協力を呼びかけた。
宿泊業の現状と課題について、この10年でホテルの客室数は8%増えているが、旅館は24%減っている。ただ、延べ宿泊者数に占める外国人宿泊者の割合は年々上昇しつつあり、外国人旅行者の受入促進が必要とした。
※写真=記念講演する田端浩観光庁長官