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パリエアショー、静かな幕開け
米中貿易紛争影響か、受注発表少なく
【パリ発=伊藤学】パリエアショーが6月17日(仏現地時間)、パリ郊外のル・ブルジェ空港で開幕した。これまでその開発が噂されてきたエアバスによるA321XLRの正式ローンチというニュースが初日を沸かせたが、エアショーの華といえば、やはり機体メーカー各社による相次ぐ受注会見だ。ところが今年のパリエアショーは、どうもそうはいかない様相だ。
過去のエアショーを振り返れば、記者たちのメールに受注会見の案内が、エアバス、ボーイングを中心に引っ切り無しに飛び込むことが通例だった。ところがここ最近のエアショーはやや大人しい。大型受注案件が一段落したということもあろうが、最大の要因は米中貿易摩擦による世界経済の減速感が業界全体に漂っていることだろう。
航空業界の様々な指標をみても、「戦争」の様相を呈してきた米中貿易摩擦によって、旅客の成長が減速し、eコマースを中心に飛躍的に伸びた貨物についても今年に入って急ブレーキ。当初は楽観的だった両国間の紛争は未だ解決に至らず、米国が第4弾の追加関税を示唆するなど、不透明感が漂う。
また、ボーイングの737MAXが依然として空に復帰していないことに加えて、ボーイングがNMAを正式にローンチすることが出来ずにいること、さらには777Xの初飛行遅れなども、エアラインが新規発注を控えて、エアバス、ボーイング双方の出方をうかがうことに繋がっているかたちだ。
エアバスはA321XLRなど受注もボーイングは受注「ゼロ」
そうしたなかショーの初日にエアバスはエアリースコーポレーションから、ローンチしたばかりのA321XLRを含む計50機を受注。さらにレバノンのフラッグキャリアであるミドルイーストエアラインズから4機のA321XLRを受注することに成功した。
一方のボーイングはGECASから737-800型機の貨物改修型機を10機受注するに留まり、新たな旅客機の受注はなく寂しいスタートとなった。GECASが発注した10機分の737-800BCFは以前の発注で獲得していた購入権をGECASが行使したもの。今回の契約には15機分のあらたな購入権が付随している。
いずれにしてもパリショーは始まったばかり。A321XLRのローンチという好材料を商材に、2日目以降、受注合戦が盛り上がるか。注目されるところだ。