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ATR、必要滑走路長800mのATR42-600STOLをローンチ
東京都が描く小笠原空港建設案に追い風
【仏パリ発=伊藤学】ATRは6月19日(仏現地時間)、検討を重ねてきたATR42-600STOL型機を、ついにローンチすることを発表した。このSTOL性能を有するATR42-600型機が離着陸に必要な滑走路長は800メートル。STOL性能を有していないATR42-600型機の必要滑走路長は1050メートルで、離島などの滑走路が短い空港に就航することができるようになる。仮に日本の空に同機が導入されることになれば、調布、新島、神津島、小値賀、上五島、粟国、波照間といった滑走路長さ800メートルの飛行場に運航することが可能だ。
ATRによればローンチ・カスタマーは、アイルランドに本拠を置くターボプロップ機のリースを手掛けるエリック・アビエーション・キャピタル。同社はATR42-600STOLを10機発注した。これらの機体は2022年~2024年に引き渡しを開始する計画だ。加えてATRは同日、エアタヒチから2機のATR42-600STOLを受注することにも成功している。
小笠原新空港、滑走路は1000mで構想
前述したように、日本の大半の空港に就航することが可能な同機は、日本の航空ネットワークを大きく拡げる可能性を秘めている。とりわけ同機のローンチを待ちに待っていたのが、東京都が父島に建設することを構想している小笠原空港だ。救急搬送や住民の生活の足として、あるいは小笠原に観光客を呼び込むツールとして、新空港に対する期待は小さくない。
※画像=ATRがSTOL性能を有するATR42-600STOLをローンチ。小笠原空港計画も前進するか(提供:ATR)