WING
三菱航空機・水谷社長、M100商談開始に驚き隠さず
モックアップ披露で商談開始へ急加速
【仏パリ発=伊藤学】「パビリオンをご覧いただき、お客様が一気に(商談テーブルにつく)その気持ちになって頂けた。本当に嬉しい」---。スペースジェット構想をパリエアショーで披露した三菱航空機の水谷社長が本紙のインタビューに応じ、こう話した。水谷社長にとって、今回のパリエアショーの場でM100の受注交渉がスタートしたことは、嬉しい誤算だ。あくまで商談を進めていくことに合意したという段階であって、受注をコミットメントされた訳でもない。それでも「2024年から15機」という具体的な数字が飛び出してきただけに、スペースジェットプログラムには、大きな追い風だ。
三菱重工で長らく防衛畑を歩んできた水谷社長が三菱航空機社長に就任したのは2017年のこと。以降、受注を獲得するに至っていない社長として、どこか胸の内がもやもやするものがあったはずだ。それというのも三菱航空機にとってスケジュール改訂に追われるなど、最も苦しい時期の一つに社長に就任したため。「新たに注文を得ようとということで、いわゆる営業活動を積極的にしてきた訳ではなかった」と振り返った。就任当初から一貫して、「己が使命はMRJ90(現M90)の型式証明を取得してお客様に初号機をお約束である2020年半ばに届けること」と言い聞かせ、自らを奮い立たせてきた。
もちろん営業活動を全くしなかった訳ではない。「色々なお客様と長い目でお付き合いをするというスタンスで地道に取り組んできた」とし、MRJ90(現M90)型式証明取得という使命を全うするために全力を傾けつつ、並行して営業部隊と共に粘り強く顧客と相対してきた。そうした長い目で接してきた顧客の一社が、「今回MOUを締結することができたお客様」であったことを明かした。
「もともとMRJファミリーに強い関心を示されておられたお客様」だったとのことで、スペースジェット構想を正式に披露したことで具体的な商談に踏み込むに至ったと経緯を明らかにした。「パリエアショーでモックアップをご覧いただき、先方の関心が急に高まったということが正直なところ」との認識を示した。
2024年は十分対応可能なスケジュール
IFE導入などは「時代の趨勢」
M100コンセプトはM90にレトロフィットできるのか
M100はMRJ70に比べて貨物室が相対的に小さく
※写真=今回のエアショーでM100の具体的な商談開始の合意に漕ぎ付けたことは水谷社長にとっても大きな驚き。スペースジェットプログラムはこれを追い風に開発・営業双方で軌道に乗ることができるか