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ボーイング、営業活動で後手に回ったパリショー
MAXの安全な飛行再開優先、NMAもエアバスの後塵拝す
【パリ発=伊藤学】ボーイングにとって今年のパリエアショーは、猛烈な逆風のなかで迎えたエアショーだ。737MAXの墜落事故で、未だ737MAXの飛行再開に漕ぎ付けていないなか、ショー開始当初からボーイング各首脳陣は「最優先事項は安全に737MAXを空に戻すこと」---。この言葉を終始強調し続けた。
そうしたなかパリショーのトレードデー最終日を終えてみると、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)との間で737MAXを200機受注することで覚書(LOI)を締結するという驚きのニュースが駆け巡るなど、複数の結果を残した。それでもショーの目玉である受注合戦ではエアバスに遅れを取らざるを得なかったことのほか、ボーイングがローンチすることを検討している新中型機(NMA)で最大のライバルであるエアバスの後塵を拝せざるを得ないなど、苦しい展開が続いた。
第53回パリエアショーの4日目を終えた6月20日(仏現地時間)、ボーイング民間航空機部門営業担当トップのイーサン・モニィヤー上級副社長が、ショーの総括会見に臨んだ。
モニィヤー氏が総括したところ、エアショー期間中にボーイングは旅客機関係ではIAGとの間で200機の737MAX受注に向けたLOI締結のほか、大韓航空と30機分の787-9/10型機(うち10機はALCからのリース)、エアリース・コーポレーションと5機の787-9型機、トルクメニスタン航空と1機の777-200LRのセールスに関する覚書や締結やコミットメントを獲得するに留まり、結果として確定受注の獲得を公表するには至らなかった。
目立ったのが貨物機需要が堅調ということだ。米中貿易紛争で世界経済が踊り場にあり、航空貨物需要が低迷するなか、エアラインは中長期的な貨物需要の伸びを重視。今回のショーでボーイングはカタール航空から777フレイターを5機、チャイナエアラインズから777フレイターを最大6機受注ことで合意。さらに、ASLアビエーションホールディングス(20機〈オプション〉)、GECAS(25機〈オプション15機〉)らがそれぞれ旅客機から貨物機へと改修する737-800BCFを受注することで合意を取り付けることに成功した。
※写真=737MAXを安全に空に戻すことが最優先であることを強調するイーサン・モニィヤー上級副社長