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2019.07.11

ウイングトラベル

HIS、ユニゾHDにTOB、株式45%取得めざす

ユニゾホテル25軒加え、ホテル100軒実現へ

 エイチ・アイ・エス(HIS)は7月10日、ホテル、不動産事業を手がける東証一部上場のユニゾホールディングス(ユニゾHD)に対して、TOB(株式公開買付)を実施、株式保有率を45%まで引き上げることを発表した。買付代金の総額は約427億円、公開買付代理人はエイチ・エス証券。公開買付でユニゾHDを持分法適用関連会社とし、主要株主として協業することで、HISホテルグループが進める「ホテル100軒構想」の実現をめざす。
 HISホテルグループで現在稼働中のホテルは33軒で、建設中・交渉中の国内外34軒を加えると67軒。これにユニゾHDの運営する25軒を加えると92軒になり、国内ホテルチェーンの中で、チョイスホテルの96軒に次ぐ9位に躍進する。
 HISでは、今後5年間の営業キャッシュフローで建設予定ホテルを含めると、「ホテル100軒構想」が視野に入るとしている。

 

 買付総額427億円、持分法適用の45%取得へ
 公開買付1株3100円、7月9日終値1990円

 HISは昨年12月中旬から複数回、ユニゾHDに対して、資本提携を含む業務提携の可能性を協議をするための面談を申し入れたが、ユニゾHDがこれに応じず、HISはユニゾHDとの業務提携の実現に向けて強い意思を示す必要があり、株主としての影響力を持ち、本格的な協議に進むためには、会社法上の特別決議の拒否権を確保する程度以上の株式取得が必要であると公開買付の実施を決めた。

 

 TOBで競争に耐えうるホテルチェーンを実現
 HIS澤田会長兼社長「敵対的買収ではない」

 7月10日に都内で開催したTOB開始に関する記者会見でHISの澤田秀雄会長兼社長は「2023年にHISグループでホテル100軒の展開を目指しているが、その先には世界的なホテルチェーンの実現を視野に入れている。そうした中で100軒構想実現のペースを早めていくチャンスがあればきちんと実行していきたい」と強調した。
 宿泊関連事業を取り巻く現状について澤田会長兼社長は「日本国内でも訪日インバウンドが好調に推移しているのを始め、世界的にも旅行者数は増えている。これを受け入れるための宿泊施設は世界的にまだまだ整っていないので、宿泊市場については、当面は好調に推移していくと考えている。ただ、3〜5年後には競争が激しくなると見ており、われわれは競争に耐えうるようなホテルチェーンを作っていきたいと考えている」と述べ、将来に向けて事業基盤を固めていく必要があるとの認識を示した。

 

■ユニゾHD「TOBは連絡なく一方的、突然」
 今年度末で運営ホテル32軒・7884客室

 ユニゾホールディングス(ユニゾHD)は、HISによる株式公開買付けの開始発表を受けて、「当社に対して何らの連絡もなく一方的かつ突然に行われたもの。当社としては、今後、公開買付届出書等の内容、その他の関連情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定」とコメントしている。
 ユニゾホールディングスは1959年に設立。日本興業銀行(現みずほ銀行)グループで、歴代社長も旧日本興業銀行出身者が務める。資本金は320億円。

 

 18年度増収増益も19年度は減収減益見通し

 ユニゾホールディングスの2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.8%増の560億円、営業利益が0.3%増の176億円、経常利益が2.6%増の117億円、最終純利益は40.2%増の119円の増収増益だった。純利益が大きく増加したのは、キャピタルリサイクリングに伴う不動産を国内16物件、海外4物件、ホテルを2物件売却したことによる固定資産売却益を計上したことなどによるもの。
 このため、2020年3月期の連結業績見通しは、前期の物件売却の影響で、売上高19.2%減の453億円、営業利益23.4%減の135億円、経常利益25.4%減の88億円の減収減益となる計画。
 ユニゾHDの運営ホテルは24軒(5422室)で、今年度中に開業予定の8軒を加えると32軒(7884室)になる。ホテルは3ブランドを全国展開している。内訳はホテルユニゾが11軒+開業予定2軒の13軒、ユニゾインが11軒+開業予定2軒、ユニゾエクスプレスが2軒+開業予定4軒。

 

※写真=ユニゾHDへのTOB開始を記者会見で説明するHISの澤田秀雄会長兼社長(写真右)と中谷茂連結財務・経理担当取締役

 

※画像=HISがユニゾホールディングスにTOB(株式公開買付け)開始を発表