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2019.07.22

ウイングトラベル

ハワイ島完全回復へジャパン・サミット開催

新たな観光商品化、MICE支援策など打ち出す

 ハワイ島への日本人旅行者の送客回復に向けて、旅行業界関係者とハワイ島のサプライヤーが一堂に会するジャパン・ハワイ島サミットが7月18日(現地時間)、ハワイ島コナのヒルトン・ワイコロア・ビレッジで開催された。ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)、ハワイ州観光局(HTJ)、ハワイ島観光局は一体となって、2020年までにハワイ島観光の「完全回復」を最大の目標とする。HTJでは、ハワイ島のブランディングを構築するともに、新たな観光開発やインフラ整備、MICE支援策などを打ち出し、昨年5月のキラウエア火山の影響から脱却し、日本人旅行者の拡大を図る。
 今回のハワイ島サミットには、ハワイ島から26社46名、ハワイ島以外から41社70名の計96社116名、日本からハワイ島へ送客する旅行会社、エアラインから24社60名、ハワイ現地法人などから20名の計80名が参加した。
 午前にはHTJからハワイ島最新情報の説明会、午後からは旅行会社とサプライヤーの商談会が開催された。

 

 羽田供給増で地方−東京−ハワイ旅行者拡大

 

 ハワイ州観光局(HTJ)の酒井剛士営業部長が日本マーケットの情報とハワイ島の現状について説明した。それによると、ハワイ全体の日本市場は米国本土に次ぐマーケットで、2018年は訪問者総数の16.0%、2019年5月末現在は15.0%を占め、海外市場では最大のシェアを維持する。
 日本からハワイへの渡航者数は、2018年は前年比1.0%減の157万人と微減した。ハワイへのハリケーン災害、日本の災害、とくに関西空港の閉鎖などが影響した。しかし、消費額は2.1%増の23億1000万ドル、1人当たり1日平均消費額は3.0%増の247ドルと増加、航空座席数は2.7%増の204万2600席だった。
 今年5月末現在の訪問者数は1.4%増の62万5000人、消費額は2.2%減の8億6500万ドル、1人当たり1日平均消費額は2.5%減の237ドル、航空座席数は2.3%増の82万5900席と推移している。
 HTJでは、今年のハワイへの日本人渡航者数は160万人を目標としていたが、158〜160万人で落ち着くと現段階では予想している。
 航空座席数は、今年は約200万席だが、来年は215万〜220万席と拡大を予想。とくに、羽田発着枠の増加により、羽田の供給量が150%以上、東京発(羽田・成田)が70%以上見込まれ、東京発ツアーが飽和状態となり、地方からの送客強化につなげたいとしている。
 ハワイ島の状況を見ると、1998年はハワイ島は31万8000人とピークで、2015年に14万人まで落ちたが、2016年12月にハワイアン航空が直行便を運航、17年にはJALも就航し、2017年は19万人まで伸びた。2018年はハワイアン航空、JALの運航で、年間23万人を予想したが、5月のキラウエア火山の噴火で減少し、結果的には17万7000人に終わった。

 

 ハワイ島への日本人客、20年23万人めざす
 旅行会社支援、共同事業、PR展開を強化

 

 ハワイ島への今年5月までの日本人渡航者数をみると、1-4月までは20〜40%台のマイナス傾向が続いていたが、5月は昨年の火山噴火による減少の反動で10.7%増に回復してプラスに転じた。
 これを受けて、HTJではハワイ島への日本人渡航者数を2019年は17万人と予想している。当初は20万人を予想したが、米市場と比べて日本市場の回復が遅れている。そして、来年は本来の目標である23万人と完全回復をめざし、ハワイ島に特化したPRを展開している。
 HTJでは、2020年のハワイ島の完全回復に向けて、ハワイ島送客増のプログラムとして、1.メディアでの露出増加、2.エージェントへのサポート、3.オールジャパンでの協業、4.レンタカーキャンペーンを展開する。

 

 HTA、旅行業界からのリクエストに対応
 HTJ、コナ−ヒロつなげ、グループ旅行拡大

 

 インタビューに応じたHTJのミツエ・ヴァーレイ日本支局長は、ハワイ島への日本人旅行者の完全回復について、旅行会社向けに「コナとヒロをつなげるために全力を尽くす、プロダクトを増やす、グループ旅行を拡大する」の3点を指摘した。ヒロをグループ旅行に適した素材が多く、グループ旅行の拡大を提案する。
 B2C向けには、ブランディングのためのプラットフォームづくり、素材づくりをパートナーと協力して実施する。
 2020年は地方戦略、隣島ブランディング、MICEの強化、レスポンシビリティ・ツーズムの4点を中心に展開していく方針を示した。
 HTA本局のカレン・ヒューズ・マーケティング&商品開発担当副社長は、日本の旅行業界の支援に感謝するとともに、「ハワイ島は観光のポテンシャルが高く、ダイバーシティでもあり、商品開発、プロモーションを積極的に進めていく」と述べた。
 同時に、「日本マーケットの旅行会社として、どのようなことが必要なのか、どのようなことをサポートしたらいいのか、我々に対してリクエストしてほしい」と述べ、旅行業界との関係をさらに深めて、パートナーとしてハワイ島への日本人旅行者の完全回復を図ることを強調した。

 

※写真=左から、HTJミツエ・ヴァーレイ日本支局長、HTA青木美波ブランドマネージャー、HTAカレン・ヒューズ・マーケティング&商品開発担当副社長、HTJ酒井剛士営業部長

 

 

※写真=HTJによる日本マーケットの情報とハワイ島の現状の説明会

 

※写真=旅行会社とサプライヤーによるトレードショーでは活発な商談が行われた