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第1四半期緊急発進、過去4番目の246回に
露機の領空侵犯発生、中露とも戦闘機接近増加
統合幕僚監部は7月26日、航空自衛隊が行う緊急発進について、2019年度第1四半期(4月1日-6月30日)の実施状況をまとめた。実施した緊急発進回数は、前年同期比25回減少した246回。データのある2003年以降では、過去4番目の数となった。回数自体は目立った増加などは見られなかったが、去る6月20日には露Tu-95による領空侵犯が発生した。また期間外ではあるものの、直近7月23日には中・露機が連携して竹島へ接近し、露早期警戒管制機が領空を侵犯するという異例の事態が発生。中国およびロシアの航空機による日本周辺での活動は、引き続き活発な状況だ。
対象の国・地域別では、推定を含め中国機に対する緊急発進が約73%を占め、ロシア機が26%、その他が1%だった。緊急発進回数は中国機が前年同期比6回増の179回で、ロシア機への緊急発進は30回減の65回。統幕は、緊急発進を行った相手国の機首について、中・露いずれも戦闘機が多かったとしている。
露機の領空侵犯、周回飛行などいぜん活発
直近で中露連携の竹島侵犯、かつてない動きに警戒
中国機への緊急発進は微増、ロシア機については大幅に減少したかたちとなった。ただし、ロシア機による日本領空へ接近した飛行は、領空侵犯や日本周回飛行などが確認され、特異なものが多かったといえる。
特に6月20日の露Tu-95による領空侵犯は、南大東島および八丈島の領空内で2回発生した。当時、2機のTu-95は日本海側から対馬海峡を通過後、台湾方面から太平洋を北東へ飛行。そのとき午前8時53分から約3分間にわたり、沖縄県南大東島上空で領空侵入した。2機はすぐに進路を変えて領空内から退去し、引き続き北東方向へ飛行した。しかし午前10時21分に、その2機のうち1機が東京都八丈島領空へ侵入。約2分間で領空を退去して、北海道方向へ飛行した。
対馬通過増え西空の緊急発進21回増加
2019年度第1四半期の緊急発進を各方面隊別に見ると、北部航空方面隊が24回減の41回、中部航空方面隊が14回減の10回、西部航空方面隊が21回増の33回、南西航空方面隊が8回減の162回となった。
西空の大幅増加については、相手国による対馬海峡通過事案が増えたためだとしている。
※図=緊急発進の対象となった中国・ロシア機の飛行航跡図(提供:統合幕僚監部)
※表=推定含む5年間の国・地域別緊急発進回数(提供:統合幕僚監部)
※写真1=ロシアのTu-95爆撃機が6月20日、日本を集会する飛行を行った上で、2地点で領空侵犯を行った(提供:統合幕僚監部)
※写真2=足元の7月23日には中・露連携の上、A-50早期警戒管制機が竹島上空を領空侵犯。かつてない動きを見せ、活発化の様相だ(提供:統合幕僚監部)