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2019.08.20

WING

夏季繁忙期、台風直撃も大手2社国際線旅客数前年並み

火花散らしたハワイ線、ANA・JALとも需給バランス

 今年の夏季繁忙期(8月9日~18日:10日間)における、航空会社各社の旅客輸送実績が出揃った。今回の夏季繁忙期は、期間中に台風10号が日本列島を直撃。その影響を受けるかたちで欠航便が相次ぎ、空の便の利用者の足が大きく乱れた。
 そうしたなか大手航空会社2社における実績をみてみると、全日空(ANA)の国際線旅客数は前年並みに。一方の日本航空(JAL)は0.4%増加となり、両社ともにほぼ前年並みの旅客数に着地した。搭乗率ベースでみてみると、ANAは0.5ポイント低下した87.8%、JALも0.4ポイント減少したが93.4%と高い利用率を記録した。国際線ではハワイ、北米線、オセアニア線などが好調だった。
 なかでも今夏の商戦でとくに注目されたのが夏の定番・ハワイ線だ。ANAが今年5月から総二階建てのA380を投入したことにより大手2社が激しく火花を散らしている。ANAのA380にとって初の夏季繁忙期となった訳だが、実績の蓋を開けてみると、ANAは提供座席数を54.9%拡大しており、旅客数も55%増加。利用率は95.1%と好調な数字を叩き出すことに成功した。
 JALはハワイ線の供給量を絞る戦略を進めてきており、夏の繁忙期の提供座席数は11.4%減少。旅客数は14.9%減少したが、利用率ベースでは91.3%と、こちらも依然として高い利用率を確保した。
 こうしてみると、A380を投入して座席供給量の大幅拡大を狙ったANAは思惑どおりに旅客数を増やし、一方のJALは座席供給量を抑えたこともあってか高い利用率をキープ。両社が需給バランスを上手くコントロールすることに成功したかたちだ。
 一方、国内線では帰省やプレジャー需要が継続して好調で、今夏の繁忙期においても好調を維持した。なかでも夏に人気の北海道方面のほか、東北・北陸方面の需要が高かった。

 

ピーチ旅客数、国際14%増、国内は供給抑え8%減
JJP国際線、供給4割減で旅客数33%減少

 

 LCCにおいてはピーチ・アビエーションの国際線旅客数は14%増加。ジェットスター・ジャパンは座席供給量が4割近く落ちたことから、旅客数は33.1%減少した。利用率ベースでみると、ピーチ・アビエーションの国際線利用率は3.6ポイント減少した89%、一方のジェットスター・ジャパンは8.6ポイント増加した91.9%だった。
 国内線においてはピーチ・アビエーションは座席供給量を9%抑えたことから旅客数も8%減少。一方のジェットスター・ジャパンは提供座席数を19.1%拡大したことで、旅客数が17.2%増加した。
 ちなみに春秋航空日本はSPRINGにブランド名を変更。ブランド名変更後、初の夏季繁忙期を迎えた同社は、国際線の提供座席数を2倍にしており、旅客数は106.4%増加。利用率も2.9ポイント拡大して96.1%と好調だ。
 国内線においても提供座席数を29.4%増加しており、利用者数が35%増加。利用率は3.7ポイント改善した89.5%を確保し、国際線、国内線ともに高い実績を残した。

 

バニラ最後の夏、内際共に有終の美

 

 また、ピーチ・アビエーションに吸収合併するバニラエアにとっては、今夏が最後の夏季繁忙期となる。統合に向けて既に運休している路線があることから、国際線の座席供給量は53.3%減少。旅客数は47.1%減少したものの、利用率ベースでは0.8ポイント改善した93.2%と、最後の夏に有終の美を飾った。
 国内線においても路線縮小の影響で提供座席数が38.1%減少したものの、旅客数は37.4%減少。利用率は1.1ポイント上昇し、89.4%と高い利用率水準を出すことに成功した。
 なおスカイマーク、ソラシドエア、スターフライヤー、そしてAIRDOら中堅キャリアの実績をみると、スカイマークは座席供給量を1.2%抑えたなかで旅客数が1.3%増加。スターフライヤーも座席供給量を6.8%減少させたものの、旅客数は4.9%減に留めた。
 その他、ソラシドエアは提供座席数を2.1%増加したが、一方で旅客数は5.7%減少。AIRDOも提供座席数を4.9%増加したが、旅客数の伸びは0.6%と小幅な伸びに留まった。

 

■ANAお盆、国際線利用率は0.5ポ増の87.8%
 ハワイ・北米好調、国内線利用率は2.1ポ増の85%

 

■JAL夏季繁忙期、国際線搭乗率は0.4ポ減の93.4%
 米大陸とオセアニア好調、国内線は0.4増の86.5%

 

※写真=夏季繁忙期の期間中、多くの人が航空機を利用した