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2019.08.21

WING

藤井国交審議官、成田国際ハブ機能強化を重視

LCC誘致でネットワーク拡充、羽田と一体で需要担う

 国土交通省の藤井直樹審議官は8月20日、専門紙記者クラブの就任会見に応じ、首都圏空港の機能強化について言及。特に成田空港では豊富なネットワークを持つ優位性を活かすことが重要だと強調した。その上で、成田国際空港会社(NAA)がLCCを積極的に誘致する姿勢を評価して「NAAとしっかりタイアップしながら、首都圏のネットワークの需要にしっかり応えられるよう、引き続き努力したい」と述べた。
 成田空港では、2018年3月の四者協議会によって、関係自治体との間で第3滑走路の整備を伴うさらなる機能強化について合意が成された。その上で今後の成田空港の方向性として、LCCに注目した。成田空港は現在、第3ターミナルとしてLCC専用ターミナルを運用していて、今後さらに拡張工事にも取り組むこととなっている。そこで、2020年3月の羽田空港の容量拡大を踏まえた上で「より成田空港では多くの地点へネットワークを持っている空港としての活用が広がる」と述べた。さらに、NAAでもネットワーク拡大のため、経営の中核としてLCCの積極誘致へ舵を切っていると説明。成田空港が多くの地域と就航することで、国際ハブ空港として成長していく取組みを推進する考えだ。
 成田空港ではさらなる機能強化へ向けて、環境アセスメントや、地権者への説明などNAAが進めている。藤井審議官は「成田については不幸な歴史もあるが、その中で一歩ずつ地元との理解を得ながら、2本の滑走路でここまで機能してきた」と振り返った。さらに今回の機能強化については「インバウンドの急激な拡大、それを支えるアジアを中核としたLCC需要の伸びについて、的確に対応していくためにも非常に重要な側面がある」と語った。さらに首都圏空港はこれまでと同様、1つの空港だけでは需要を十分に賄えないとして「羽田と成田の2空港が機能を発揮することで、旺盛な航空需要に応えられる」と説明した。改めて成田空港のさらなる機能強化が不可欠であり、取組みの早期実現へ向けて協力する姿勢を示した。
 羽田空港の機能強化については、首都圏上空を飛行する新飛行経路によって、発着容量を拡大する。今年8月8日には、新経路の運用を2020年3月29日の夏ダイヤから開始することを決定した。それによって、国際便が1日80便のところ、1日50便増えることになるため「羽田から就航する国・都市も豊富な拡大が図れる」と話した。新飛行経路については当然、住民の心配の声があることに理解を示した。その上で、関係自治体からの意見・要望については「しっかり受け止めて、丁寧に対応していく」とのこと。さらには、騒音・落下物対策は今後、しっかり取組みを重視する姿勢を示して、地域の不安を解消するよう努力していく考えを強調した。

 

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〈藤井直樹(ふじいなおき)氏の略歴〉
(1961年1月23日生・岡山県出身)
出身(本籍)
▼1983年3月:東京大学法学部卒業
▼1983年3月:運輸省採用
▼1989年4月:同国際運輸・観光局外航課専門官(休職・海事産業研究所)
▼1991年7月:同運輸政策局観光部旅行業課補佐官
▼1992年9月:同航空局監理部航空事業課補佐官
▼1996年11月:同大臣官房文書課補佐官兼総理府行政改革会議事務局調査員
▼1997年12月:兼内閣官房内閣内政審議室中央省庁再編等基本法案(仮称)準備室
▼2001年1月:国土交通省大臣官房人事課企画官
▼2004年7月:同総合政策局国際観光推進課長
2006年7月:同総合政策局国際観光課長
▼2007年4月:内閣官房内閣参事官(内閣総務官室)(命)内閣官房拉致問題対策本部事務局参事官
▼2008年7月:国土交通省航空局空港部首都圏空港課長
▼2010年9月:内閣官房内閣参事官(内閣総務官室)
▼2011年9月:国土交通省総合政策局政策課長
▼2012年9月:同大臣官房審議官(総合政策局、鉄道局担当)
▼2013年8月:同総合政策局公共交通政策部長
▼2015年7月:同自動車局長
▼2017年7月:同鉄道局長
▼2018年7月:同大臣官房長

 

※写真=記者からの質問に応える藤井審議官