記事検索はこちらで→
2019.09.03

WING

海保概算要求、大型無人機の飛行実証で9.7億円

23年度就役の新ジェット55.9億円、海洋監視強化で

 海上保安庁が発表した2020年度概算要求によれば、2019年度当初予算に比べて15%増加する2153億4700万円を要求した。このなかで大型無人航空機の国内飛行実証として、9億7000万円を盛り込んだ。これは海洋監視体制強化の一環。また、新規要求として2023年度に就役する新型ジェット機を盛り込んでおり、その要求額は55億9000万円となっている。
 国内では昨年5月、ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(ジェネラル・アトミクス)が壱岐島で中大型無人航空機「MQ-9」を、日本国内で初めて飛行実証。この飛行実証では、海上における救難救助や密漁船対策などの洋上監視のほか、気象観測、災害監視、さらには航空・通信・産業利用支援などに向けたデータを収集などを実証することを目的としていた。
 なお、海上保安庁の大型巡視船隻数は2020年度の時点で69隻となるが、この体制を強化して2023年度には75隻まで増強する。海上保安庁職員の定員数も年々増強しており、2010年度には1万2636名だったが、2019年度現在、その定員数は1万4178名にまで拡大した。

 

尖閣警備強化などで345億9000万円
ヘリ搭載巡視船2隻や大型巡視船2隻を新規に

 

 海上保安庁の2020年度概算要求は、「海上保安体制強化に関する方針」に基づく体制の強化のほか、海洋状況把握(MDA)の能力強化に向けた取り組み、さらには法の支配に基づく海洋秩序のための取り組みといった『戦略的海上保安体制の構築』を強化する。加えて、『治安・救難・防災業務の充実強化、海上交通の安全確保などといった国民の安全・安心を守る業務基盤の充実強化』も推進する。
 このうち「海上保安体制強化に関する方針」に基づく体制の強化のうち、尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応可能な体制整備に向けて345億9000万円を要求した。これは2019年度当初予算の264億7000万円に比べ、大幅な増額となる。

 

海洋監視体制強化に99億7000万円
大型無人機実証や新ジェット機に

 

業務基盤充実・強化で205億8000万円
ヘリ搭載巡視船の延命・機能向上など新規要求

 

※写真=海上保安庁は大型無人航空機の国内飛行実証。写真は昨年ジェネラルアトミクスが実壱岐における飛行実証に投入した「MQ-9ガーディアン」