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単結晶ダイヤモンド放熱基板のマルチセル構造GaN-HEMT
三菱電機、産総研と共同で世界初開発
三菱電機株式会社は9月2日、産業技術総合研究所(以下、産総研)集積マイクロシステム研究センターとの共同研究により、単結晶ダイヤモンドを放熱基板に用いたマルチセル構造のGaN-HEMT(窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)を世界で初めて開発したことを明らかにした。今回の開発により、移動体通信基地局や衛星通信システムに搭載が進む、高周波電力増幅器の出力密度および電力効率が向上し、低消費電力化に貢献するしている。
移動体通信基地局や衛星通信システムに搭載している高周波電力増幅器に採用が進むGaN-HEMTは、高出力動作時の発熱により電流が流れにくくなるという問題から、本来GaN(窒化ガリウム)が持つ性能を発揮できていなかった。このため、GaN-HEMTの基盤として、従来のSiC基盤(熱伝導率約150W/m・K)やシリコン基盤(熱伝導率370~490W/m・K)に代わる自然界で最高の熱伝導率を持つダイヤモンドを用いた構造が開発されていたところ。
今回の開発では、三菱電機がダイヤモンドを直接接合したGaN-HEMTの開発(設計、製造、評価、解析)を、産総研がダイヤモンドとGaNの接合プロセス開発を担当した。
※画像=開発したGaN-HEMTの上面写真(下)とセル構造(上)
※画像=開発したGaN-HEMTの断面構造