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2019.09.09

WING

防衛省、辺野古移設事業で技術検討会を開催

地盤改良工法等の提示に対し、提言・助言を行う

 防衛省では9月6日、沖縄防衛局が「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」の第1回検討会を防衛省本省内で開催した。
 いわゆる普天間飛行場の辺野古移設事業に関しては、2017年4月に護岸工事を開始した後、2018年12月にキャンプ・シュワブ南側の海域から埋立工事を開始。この中で18年12月の土質調査の結果により、キャンプ・シュワブ北側の大浦湾側において、当初予定よりも護岸等の安定性および沈下に影響すると考えられる地層が確認されている。このため、19年1月に大浦湾側の護岸や埋立て等の設計・施工等に関する検討を行い、地盤改良が必要と結論づけている。
 技術検討会では冒頭挨拶として、沖縄防衛局次長の西村拓氏が前述の経緯を述べた上で、「技術的・専門家的見知から、客観的に有識者から提言・助言を得るべく、本技術検討会を開催した」と技術検討会開催の目的を説明した。
 技術検討会の委員は、地盤改良のための護岸や埋め立て地等の設計・施工、維持管理を合理的なものとするため、地盤、構造、水工、舗装等の有識者8名で構成している。委員長には早稲田大学理工学術院の清宮理名誉教授が、副委員長には熊本大学 副学長の大谷順教授が互選により選ばれている。
 検討会後の記者に対する概要説明では、沖縄防衛局は委員人事や運営要綱を決めたことを明かした上で、検討内容を説明した。第1回目の検討会では、沖縄防衛局から主な検討項目として、地盤条件、波浪条件といった設計条件の他、護岸構造の候補および地盤改良工法候補、護岸および滑走路に求められる要求性能・性能規定をを提示し、委員達は議論の上、提言・助言を行ったとのこと。
 地盤条件では、ボーリング調査結果を基に作成した三次元地盤モデルを用いて、「谷部」に沖積層が堆積していること等を委員に説明し、委員からは「土質調査について、かなりの数が実施されており、各土層の土質定数を決定する上で、十分な密であると言える」、「採取資料の品質もクオリティが確保されている」等の提言がなされた。波浪条件では、設計波の計算手法にブシネスク方程式を採用することを委員に提示し議論したところ、採用は妥当との提言・助言を得たと説明した。
 また護岸構造の候補提示では、消波構造の必要な部分には、スリットケーソン式と直立消波ブロック式の2種類の候補を提示。消波構造の必要ない部分には自立鋼管矢板式、斜め鋼管矢板式、二重鋼管矢板式の3種類を提示し、最終選定は次回に提示するとしたところ、特に提言・助言は無かったという。
 地盤改良工法候補については、在来地盤の強度増加や圧密促進といった目的や現場での適用特性を踏まえ、サンドコンパクションパイル工法とサンドトレーン工法を提示した。これに対しては、委員会は提言・助言として「飛行場としての機能が維持される様、しっかりと地盤改良が出来る工法とするべき」と述べたとのこと。

 

※写真=沖縄防衛局は9月6日、防衛省本省内で「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」の第1回検討会を開催した

※写真=冒頭挨拶を述べる西村拓 沖縄防衛局次長

〈普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会委員〉
▼委員長:清宮理 名誉教授(早稲田大学理工学術院)(構造分野専門)
▼副委員長:大谷順 教授(熊本大学副学長)(地盤)
▼委員(五十音順)=
・青木伸一 教授(大阪大学大学院工学研究科)
・小梁川雅(東京農業大学地域環境科学部長 生産環境工学科教授)
・三村衛 教授(京都大学大学院工学研究科)
・宮田善壽 教授(防衛大学校システム工学群建設環境工学科長)
・森川嘉之 領域長(国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 港湾技術研究所 地盤研究領域)
・渡部要一 教授(北海道大学大学院工学研究院環境フィールド工学専門)