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2019.09.11

WING

装備庁、次期装輪装甲車の候補に3車種を選定

試験車両を今年度中に契約、2022年度末の選定目指す

 防衛装備庁は9月10日、次期装輪装甲車の試験用車両として3車種を選定したと発表した。選定したのは機動装甲車(三菱重工業製)、AMV(フィンランド・Patoria社製)、LAV6.0 (カナダ・GDLS〔GENERAL DYNAMICS Land Systems〕社製)の3車種。装備庁は、今年末までに選定車種の製造会社との間で、試験用車両の製造契約を結ぶ予定としている。
 次期装輪装甲車は、陸上自衛隊の装備する96式装輪装甲車(WAPC、小松製作所製)の後継車両で、装輪装甲車(改)として装備庁で開発事業を進めていた。しかし、コマツが納入した試験車両で、耐弾性能にばらつきの多い防弾板の使用や、板厚不足等の不具合が判明し、最終的に2018年7月に開発を中止。今年4月、新たに提案要求を求めていたところ。

 

ボクサー装輪装甲車含め4車種の提案受ける

 

 装備庁に今回の選定に関して話を聞くと、前述の3車種のほかに、ボクサー装輪装甲車(ドイツ・ARTEC GmbH社製)の提案があったことを明かし、比較検討の結果、前述の3車種を選定したと説明した。試験用車両は各車種2両づつ、2019年(令和元年)度予算における装備庁と陸上幕僚監部の予算から計21億円での調達を予定している。また、機動試験や耐弾・耐爆試験といった各種試験を2021年から2022年にかけて行い、2022年度末の選定を目指すとして、今後の選定スケジュール概要を明かした。
 ちなみに、選定車種の機動装甲車は、陸自で調達が進む16式機動戦闘車(MCV)をベースに、三菱重工業が独自に開発していたもの。また、フィンランドとは今年2月の日芬防衛相会談で、日本国防衛省とフィンランド政府との間の防衛協力・交流に関する覚書」を署名しており、防衛装備・技術等の分野で知見を共有するとしていた。

 

※写真=次期装輪装甲車の候補となったAMV。派生型も多いため、仮に採用した場合、派生型の展開も期待できる(写真は歩兵戦闘車型、提供:Patoria社)

※写真=カナダ・GDLS社製のLAV6.0。C-17輸送機で2両の輸送が可能だ(提供:GDLS社)