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大韓航空機車軸破損、応力腐食割れが原因
ブッシングが回転しシーラント切断、水分侵入で腐食
運輸安全委員会は9月26日、昨年6月29日に成田空港に着陸した大韓航空777-300型機(登録記号HL7573、製造番号:27952)が、着陸した際に右主脚後方の車軸が破損したため、地上走行をすることができなくなった重大インシデントの調査結果を公表した。運輸安全委員会の調べで、車軸が破損したことについては、ピボット穴に腐食に起因した「応力腐食割れ」が発生し、この割れがある状態のままで運航したことが原因であるとの推定を明かした。
この重大インシデントは、定期便KAL703便として仁川空港を離陸して成田空港に着陸した大韓航空の777-300型が昨年6月29日12時43分ごろ、着陸した際、右主脚の後方車軸が折損し、その後の地上走行中に誘導路上で停止し地上走行が継続できなくなったというもの。
その後の調べで右主脚後方車軸折損のほか、右主脚トラックビーム破損、右主脚ステアリング機構の破損、ブレーキ及びステアリング機構の作動油ホースの切断、さらには作動油漏れ、ブレーキ関連部品の破損・右主脚配線及び配線板の破損といった損壊を確認した。
同機の主脚にはステアリングシステムが採用されており、前脚ステアリングの動きに応じて主脚後方の車軸が油圧により作動する機構になっている。主脚後方の車軸のピボット穴にはブッシング(ピボットピンの軸受け)が圧入されており、ブッシングにはグリース注入用の穴が設けられ、ピボットピンとブッシングとの摺動部はグリースで潤滑される。
対象7機の両側主脚後方車軸交換
大韓航空、再発防止策を実施
※写真=昨年9月、成田空港に着陸した大韓航空機で発生した重大インシデント(出典:運輸安全委員会資料)
※写真=破損した右主脚後方の車軸(出典:運輸安全委員会資料)
※写真=破損した車軸の破面(出典:運輸安全委員会資料)