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2019.10.02

WING

陸自RDEC、支援の枠組みを衛生分野にも拡大

医官2名が教官として参加のため、湯浅陸幕長に出国報告

 陸上幕僚監部では10月1日、国連PKO支援部隊早期展開プロジェクト(RDEC:The UN Project for Rapid Deployment of Enabling Capabilities)の一環として行われる、国連野外衛生救護補助員課程(UNFMAC試行訓練)に、教官として派遣となった陸上自衛隊の医官2名が湯浅悟郎陸上幕僚長に対し出国報告を行った。
 これまで陸上自衛隊は、国連三角パートナーシップ・プロジェクトに(UNTPP)に施設分野から参加してきたが、国連がこのプロジェクトを医療分野にも拡大する事となった事から、その試行訓練に2名の医官を初めて教官として派遣することとなった。今回派遣となるのは、陸上自衛隊衛生学校の衛生技術教官の草薙恭圭3等陸佐(医官:内科)と松野直樹1等陸尉(医官:耳鼻咽喉科)の2名で、両名ともに日本版外傷初期診療ガイドライン「JATEC」と米陸軍「Combat Casualty Care Course(Tactical Combat Casualty Careを含む)」を修了している。2名は10月7日から18日までの約2週間にわたり、ウガンダ共和国の国連エンテベ支援センターで教官として任務に当たる。今回の教官団は日本を含め国連やベルギー等から医官等8名で構成。訓練生は、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に派遣中の各国PKO要員12名と、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)に派遣中の各国PKO要員12名の計24名を予定しており、PKO活動地域での負傷者を衛生科隊員または医療従事者の下へ後送するまでの間に必要な応急救護法について教育を行うとのことだ。
 国連PKOでは年間100名前後の隊員が命を落としており、隊員負傷時の体系的な対応要領が普及しておらず、適切な対応要領の訓練を受けた隊員の不足が課題となっている。このため、国連では国連応急救護課程(UNBFAC)と今回派遣するUNFMACの2つの課程を作り、派遣部隊の能力向上を図っている。ちなみに、既に陸自が教官を派遣している国連応急救護課程(UNBFAC)は隊員一般的に行う応急止血等の第1線救護を教育し、UNFMACでは野外病院等への後送段階での応急救護を教育するとのこと。

 

国連PKO隊員の救護能力の向上は喫緊の課題
負傷や落命可能性のある隊員を減らす事に意義

 

※写真=陸上自衛隊は国連からの要請を受け、RDECの枠組みを衛生分野にも拡大する。湯浅陸幕僚は派遣する2名の働きを期待すると述べた

※写真=記者団のインタビューに応じる草薙恭圭3等陸佐(右)と松野直樹1等陸尉(左)