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JAXA、超低高度衛星「つばめ」運用終了
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月2日、去る超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の軌道保持運用を、9月30日午前9時42分に終了したことを発表した。「つばめ」は2017年12月23日に打ち上げており、10月1日午後7時13分に停波作業を実施した。
軌道高度200~300kmの超低高度で衛星を運用することによって、小型のセンサであっても高分解能の衛星画像を取得することができるというメリットがある。ただ、通常の地球観測衛星が飛行する高度に比べると大気抵抗や衛星材料を劣化させる原子状酸素の密度が1000倍程度となるなど、いくつかのハードルもある。
そうしたなかJAXAが開発した「つばめ」は、推力は小さいものの推進効率の高いイオンエンジンを用いることによって、高度271.1km~181.1kmの間で6段階の軌道高度で軌道保持技術を実証することに成功。高分解能の衛星画像を取得する実験でも、良好な画質の画像を取得することに成功していた。
また、大気密度、原子状酸素の密度や大気に曝露した材料サンプルの劣化状況など、これまでにない長期間のデータを取得することにも成功しており、JAXAが開発した材料が長期間の原子状酸素の曝露に耐えることも実証した。
JAXAによれば、こうしたイオンエンジンを用いた超低高度からの地球観測運用や原子状酸素対策に関する基盤的な技術・ノウハウを獲得したことは、JAXAが世界で初めてだった。
小型光学センサ、0.5m級の高分解能実現
※画像=様々な成果を残し、ついに停波作業が行われた「つばめ」(提供:JAXA)
※画像=SHIROP撮像画像(東京・四谷見附交差点付近)。軌道高度181.1kmのもの(提供:JAXA)