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2018.05.29

WING

千葉県訪日動向調査、銚子〜南房総に再訪者集中

長期滞在者にも人気、TDRに並ぶ再訪意欲

 

 成田空港活用協議会は総会後に開いた「第1回券内経済活性化ビジネスセミナー」で、千葉県のインバウンド周遊データを活用した、インバウンドビジネスの成功戦略を紹介した。これは、ちばぎん総合研究所が行った周遊動向調査の結果をもとにした提言。講師を務めた同社調査部長の関寛之氏によると、訪日リピーターにとって県内宿泊地に銚子・九十九里・南房総地域が特に選ばれていて、長期滞在者の割合も多いことが分かった。同地域への再訪意向は、東京ディズニーリゾート(TDR)と比肩するレベルで、高いポテンシャルを持つ地域だと説明した。
 この調査は、2017年8〜11月の期間に、県内宿泊施設を利用したインバウンド370人を対象にアンケート調査を行ったもの。訪日回数のアンケートでは、初めてと回答したのが41.8%と大多数で、3〜5回が18.9%、10回以上が18.1%、2回目が12.8%、6〜9回目が8.4%と続いた。その中でも宿泊地域別に見ると、初めて日本を訪れた人のうち、7割近くが成田空港周辺・印旛地域を占めるが、これは空港に近い利便性を優先したためと考えられる。しかし一方で10回以上の訪日経験があるインバウンドのうち49.3%、実に半分近くが銚子・九十九里・南房総地域に宿泊していることが分かった。また旅行の種類としては、個人手配のフリープランが全体の3分の2を占め、宿泊施設の予約方法は、約8割が宿泊予約サイトによるインターネット予約になる。さらに千葉県に関する情報入手の手段も、約7割がインターネットだと回答した。

 

千葉滞在平均2.9日、日本平均滞在は9.2日に
銚子・九十九里・南房総は温泉目的で人気

 

 千葉県滞在者の動向について見てみる。まずは県内に滞在する日数として、最も多かったのは1〜2日で64.7%になり、これに3〜5日27.6%、6〜8日5.4%、9〜11日0.6%、12日以上1.7%と続いた。平均滞在日数としては2.9日となるが、日本滞在の平均日数が7.6日になったため、訪日期間の4割近くが千葉県での滞在ということになる。地域別で見ると、銚子・九十九里・南房総地域は特に長期滞在者が多いことが分かった。同地域に滞在するインバウンドの日本滞在期間の平均が9.2日で、対して県内の平均滞在が4.5日。これは日本滞在の半分近くを占めることになる。
 千葉県を訪問した理由については、最も多いのがTDRで42.7%になり、自然・景勝地観光が32.3%、日本食が27%、温泉が23.6%、ショッピングが21.3%となった。これが地域別では、銚子・九十九里・南房総地域滞在者の56%が温泉入浴が目的で、自然・景勝地観光44%、日本食36%と続いた。国籍として最も多いのは香港で、同地域滞在者の6割を占める。その一方で、東京湾岸・常磐つくばエクスプレス沿線地域に滞在した人の83.7%が訪問理由にTDRを挙げた。その多くが台湾からの訪日で、81.4%を占めるかたちとなった。その上で千葉県への再訪意欲の調査では、全体で3段階中最高の”是非とも来たい”と回答したのが47.6%だった。地域別では、銚子・九十九里・南房総地域では58.1%、東京湾岸・常磐つくばエクスプレス沿線地域では60%が”是非とも来たい”と回答した。
 それらの調査結果から関氏は、銚子・九十九里・南房総地域への再訪意欲は、TDRを持つ東京湾岸・常磐つくばエクスプレス沿線地域と同じ水準にあると分析。リピーターをターゲットとした誘客が可能で、長期滞在型リゾート地としてのポテンシャルを持っているとの見方を示した。県としても全国10位の温泉地(94ヵ所)を有し、都心から最も近い温泉地として、インバウンドに売り込める可能性があることを指摘。さらに2次交通として、高速バスや鉄道に加えて、レンタカーによる相乗効果を狙うことが効果的だとした。

※写真=セミナーの様子