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小野寺防衛相、日米で北朝鮮対応のすり合わせ必要
米朝会談前に意見交換、今も「圧力」のフェーズ
小野寺五典防衛大臣は5月29日の閣議後会見で、この日ホノルルへ向かい日米防衛相会談の開催を予定していることについて、米朝首脳会談の開催に向けた米朝間の協議など、直近の状況を踏まえて「出来るだけ早いタイミングでマティス国防長官との間で日米防衛大臣会談を開催することが望ましい」と述べた。その上で日米防衛相会談では、今後の北朝鮮問題への対応について、防衛当局間の方針をすり合わせ、地域情勢など意見交換を行う考えを示した。
小野寺大臣は、29日に成田空港を出発して日米防衛相会談に出席する。現地時間の30日には、米太平洋軍司令官交代式に出席して、日本には6月1日に帰国する予定としている。小野寺大臣は、北朝鮮問題に当たって米側と外務・防衛の両面で緊密に連携しているとして、外務と防衛の2つの機関が「一体となって安全保障の役割を果たしている。特に防衛当局は、しっかりとしたかたちで連携を取って、万が一の時には速やかに地域を守れる態勢を取る」と、改めて防衛面での連携の重要性を強調した。
さらに、北朝鮮側の対応については「まだ北朝鮮は何も約束をしていない」ことを示し、防衛省の考えとして「現時点でも圧力をかけ続けるフェーズにある」とした。また、日本側が北朝鮮に対し望んでいることは、核・ミサイル、拉致問題の政策の変更であり、これらの確約を取るためにも「むしろ防衛当局もしっかりとした連携を示すこと」だと強調した。
イージス・アショア、秋田・山口へ6月にも説明
2県に政務官を派遣、必要性と安全性を強調
小野寺大臣は、イージス・アショア配備の候補地となっている秋田・山口県への説明について、関係自治体への説明には「6月1日を軸に、秋田県および山口県に防衛大臣政務官を派遣する方向で、最終的な調整を行っている」ことを明らかにした。さらに配備の実現には、地元の理解と協力が必要になるとして、関係する地元首長や住民には、丁寧な説明を行って理解を得る方針を改めて示した。
地元への説明に当たる政務官の担当などは、最終調整中とのこと。そして、説明の焦点となるのは、イージス・アショアを設置する安全保障上の必要性と地域などへの安全性になるという。説明には「イージス・アショアがどのような装備であり、それに対して、地元住民を含めて地域への安全性、あるいは地域住民の普段の生活に影響が出ないこと」を丁寧に行うことが大切だと語った。
しかし、北朝鮮の非核化を巡る協議が進む中、イージス・アショア配備に対する慎重論も出てきている。小野寺大臣は、従来の北朝鮮への厳しい姿勢を崩さず、「まだ北朝鮮は何も約束をしていない。また、その約束がなされたとしても、それが本当に実行されるかどうか。疑ってかかる必要がある」と述べた。その一方で、防衛装備の準備にはかなりの時間がかかる。そのため、同時並行的にイージス・アショア整備に対応していく必要があるとした。
AH-64D事故中間報告、地元へ安全対策説明も
小野寺大臣は、28日に防衛省が発表した佐賀県のAH-64D墜落事故の中間報告について、「おおよそ原因というのは究明できた」との見解を示し、今後は地元へ安全対策の説明を行っていく意向を示した。当日、防衛省は大野政務官を佐賀県へ派遣して、自治体や住民に対して中間報告の報告を行った。部品の破損によって発生した事故ということで、引き続き最終的な報告に向けて破損の原因などを究明する構え。最終報告については、破損原因など詳細にまとめるべきだとした。
防衛省が示した中間報告では、事故の原因について、パイロットなどの操縦の問題よりも、特にメイン・ローター・ヘッドの部品が外れたことだとほぼ特定した。その上で小野寺大臣は「まずは、安全対策をしっかり対応しながら、今後とも地元に説明していきたい」と述べた。
また佐賀県では、2月のAH-64D墜落事故の影響で、オスプレイ配備へ向けた調整も風当たりが強いものとなっている。防衛省では、オスプレイ配備に向けた地元説明を行う姿勢を示しているが、小野寺大臣はオスプレイの説明について、具体的な時期などには触れなかった。