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2019.11.11

WING

防衛研究所、中国の中央アジア外交戦略を分析

中国安全保障レポート2020、「一帯一路」を強調

 防衛省・防衛研究所は11月8日、中国の安全保障や軍事行動について独自にまとめた「中国安全保障レポート2020」を発表した。今回は「ユーラシアに向かう中国」と題して、中国の一帯一路構想をはじめとした対外戦略が中央アジアそしてユーラシア地域に与える影響等を分析している。
 結論としては、中国は中央アジア地域では地域諸国と摩擦を起こすことなく、実務的に利益の一致を求めた結果、関係性の発展を可能にしたと述べ、エネルギー関係や、重要インフラを守るための警察官の協力など新しいネットワークを見えないところで進展していると語る。一方で、成果が大きいが故に中国は野心的になりつつあり、「一帯一路」を国際秩序の変革という文脈で今一度強調しつつあると指摘し、ユーラシア外交の成否は中国が従来通りの抑制的な対外姿勢を維持できるかにかかっていると結論した。
 ちなみに、防衛研究所による中国対象の年次レポートの刊行は、2010(平成22)年度創刊から数えて10冊目。毎年、中国の目立った安全保障動向等から見える状況や懸念事項を示している。なお、これまで中国安全保障レポートは毎年2月から3月頃に刊行していたが、11月と例年に比べ早い時期に刊行となった理由について防衛研究所は「同時期に刊行している『東アジア戦略概観』と刊行時期をずらすことで注目を集めるため」としている。

 重要インフラ防御のためユーラシア諸国と法執行協力
 中央アジア地域で根強い対中警戒感
 同地域諸国は中国に依存しない外交を展開
 多層的で包括的なエネルギー協力の枠組み構築