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日米防衛相会談、短距離ミサイル廃棄、拉致解決一致
圧力も継続、問題解決へ米朝会談を契機に
小野寺五典防衛大臣は米・ホノルル時間の5月29日、ジェームズ・マティス米国防長官と日米防衛大臣会談を行い、北朝鮮問題をはじめとした地域情勢など意見交換した。特に、北朝鮮に対する短・中距離弾道ミサイルを含む兵器の廃棄や、拉致問題の解決へ、日米とも見解が一致していることを確認。さらにそれらの実現のためにも圧力をかけ続けていくことを確認した。会談後、小野寺大臣は、成果として「情勢に変化がある中で、北朝鮮問題への対応方針が日米で一致していることを改めて確認できたことは、大きな意義があると思う」と語った。
会談では、6月12日の開催を予定している米朝首脳会談について、小野寺大臣から核・ミサイル、拉致問題が前進する機会にすることが重要との認識を伝えた。マティス長官とは、北朝鮮による生物および化学兵器を含むすべての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイルについて、完全、検証可能、不可逆的といった3つの条件からなる廃棄を目指す方針を確認。圧力・制裁を維持して、国際社会の連携により北朝鮮の政策を変えさせることが重要だとする認識で一致した。小野寺大臣は、米朝首脳会談について、準備の状況や見通しなど様々な意見交換を行ったとするも、詳細には触れなかった。一時は開催が危ぶまれる事態となったものの、現時点では6月12日開催の予定どおりだとしている。
小野寺大臣は北朝鮮問題に当たり、拉致問題の重要性や、短距離ミサイルも含む廃棄を目指すことについて「マティス長官との間でしっかり一致していることを確認した」と説明。さらに、米側の対応として「むしろ私どもが求めるよりも、この問題について、先方から重要性を認識していると話があった」として評価した。また、北朝鮮の”瀬取り”の対応では、英国、豪州、カナダなど有志国と連携した取組みを継続することや、在韓米軍を含む地域の米軍の抑止力について、重要性を再確認したとのこと。特に在韓米軍は、縮減などの話も浮上しているが、縮減に関する話はなかったとして、地域の安定に重要な役割を担っていることが強調された。またマティス長官からは、日本防衛へのコミットメントが示されたとして、いかなる事態にも同盟として連携した対応ができるよう、緊密なコミュニケーションを図ることで一致したとしている。
※写真=日米防衛相会談を行ったマティス米国防長官と小野寺五典防衛大臣(提供:防衛省)