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2019.11.27

WING

UUV開発評価で岩国海洋環境試験評価サテライト整備

21年度から運用開始、あらゆる海洋環境を再現

 防衛装備庁艦艇装備研究所は、近年重要性が非常に高まっている水中無人航走体(UUV)開発で必要な試験評価を実施するため、山口県岩国市に試験評価施設「岩国海洋環境試験評価サテライト(仮称)」の整備を進めている。試験棟の整備を2018(平成30)年度から開始して、2021(令和3)年度から順次運用を開始する計画。同施設は、UUVの研究開発を推進するために必要な設備であることに加え、政府関係機関の移転基本方針を受けて、地元などの高等教育機関や研究機関など民生分野での活用も推進していく。
 UUVの研究開発開発では、その過程で長期信頼性など様々な試験評価が必要だ。防衛装備庁では、多様な任務に対応する無人機の実現を目指しているところ。無人・有人が有機的に機能するための水中防衛システムとして、UUVの開発を急ぐ。研究開発で求められるのは、多種多様な海洋環境および運用の条件下での自立航行制御や、音響センサ機能・性能の評価。それらの評価を十分に実施して、高い信頼性を確保する必要がある。

 

国内最大規模の大型水槽、あらゆる海洋環境を再現
シミュレーション装置で実運用相当の試験も

 

 この施設の整備に当たって重要な試験装置は、大型水槽とシミュレーション装置だ。大型水槽は、国内最大規模の縦35メートル、横30メートル、深さ11メートルのもの。この側面には、壁面からの音波反射を抑制するため、吸音材を設置する。水槽上面には、懸架装置(トラバーサ)を配置する。水槽内のあらゆる場所に音響機材を設置することが可能。音響センサの試験評価では、国内で唯一、海洋音響環境を水槽内に再現することができる施設となる。

 

オープンイノベーションで民生分野での利用も

 

モジュール化によるUUV開発、短期的に目指す長期行動

 

※図=UUVの開発により目指す水中防衛の将来像(提供:防衛装備庁)