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2019.11.29

WING

NAA田村社長、首都圏空港として「ネットワーク貧弱」

2空港で一人前、成長著しいアジア路線拡充重要

 成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は11月28日の会見で、成田・羽田の首都圏空港として中・近距離アジア地域のネットワークを広げていく必要があることを強調した。成田と羽田は「2つの空港で首都圏空港として一人前」でありながら、首都圏として「これだけ成長しているアジアの各都市と結ぶ路線のネットワークは貧弱」だと述べて、十分にアジア路線を獲得できていないとした。アジア域内の各方面から路線が集まれば、乗継需要も拡大することになる。そのため、近距離を拡充する中で「中長距離のネットワークも再構築していこうと思う」と語った。
 成田空港は、2020年夏ダイヤでの羽田国際線増枠によって、多くの長距離国際線が羽田へ移管することになる。成田としては、幅広い国際線ネットワークを“売り”としてきただけに、大きな痛手となる。田村社長も「2020年度が厳しい年になることは覚悟している」と述べるほど、成田にとって試練の年となる見込みだ。しかし、首都圏空港として考えれば、一方の羽田には「広いネットワークがあるわけではなく、今後増やせる余地もない」という。そのため成田では「足元を固めることが重要」だとして、アジア近距離線のネットワーク拡充が必要とのことだ。
 また、羽田への路線移管が多く見込まれる米国線を暗に示すように「もちろん、どこかの国に依存したネットワークは脆弱であり、利便性からも問題がある」と述べた。「各方面にバランスよく拡充していく中で、足元のアジアともっと首都圏とのネットワークができていても良い」として、かねてより説明する、成田中長距離線の再構築については、米国以外の長距離路線の獲得に力を入れる考えだ。
 しかしながら、短期的に見れば成田にとって、羽田移管の影響は大きい。先ごろ、全日空(ANA)、日本航空(JAL)では、2020年夏ダイヤの計画を発表。案の定、米国線は一定程度維持が図られるものの、多くの路線が羽田へ移管することになる。これには「NAAとして、以前から想定していたこと」であるという。米系エアラインも多くの路線を移管することが見込まれるが、今のところ全体像は見えてこない。田村社長は「欧米便が全部なくなってしまうようなことはない」と述べて、今後も「新規就航の話は現実にある」という。
 さらに、発着回数や旅客数の面で見れば、羽田へ移管する路線がある一方で「中国路線など増える便もある。思っているよりも減らない状況もあり得る」と説明した。田村社長自身は、トータルに見れば短期的には減少する可能性が高いという。しかし、その影響は「意外に少ないかもしれない」と好調な中国路線が好影響となることを示唆した。収入面で見れば、長距離便の大型機が発着した方が、単価は高い。一方、旅客が増えればPSFCが増え、ターミナル内のテナント、リテールがプラスになる。米国線は減少するも、収入的に減少するかは今のところ不明。「もっと詳細に検討しなければ」と述べた。

 

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※写真=会見で質問に答えるNAAの田村社長