キリン、月面農場実現へ宇宙環境近い環境で植物増殖

　キリンホールディングスの基盤技術研究所は12月5日、宇宙航空研究開発機構（JAXA）などとの産学連携共同研究を通じて、宇宙空間に近い環境で植物を増殖することに成功したことを発表した。宇宙旅行や月面基地建設の検討が進むなか、大きな課題となっている宇宙空間における食糧調達に対するソリューションとして、大きな一歩を踏み出したかたちだ。この産学連携にはほかに、竹中工務店、千葉大学、東京理科大学が加わっている。ちなみにこの共同研究はJAXAが受託した科学技術振興機構（JST）イノベーションハブ構築支援事業に基づき実施したもの。
　宇宙旅行や宇宙滞在が現実味を帯びるようになってきたなか、世界各国で宇宙空間での長期滞在技術の開発が進められている。そうしたなかJAXAに「月面農場ワーキンググループ」が設置されるなど、将来の長期滞在を見据えた動きが加速してきた。そのなかで、宇宙空間における食料の安定供給は重要な課題となっている。
　そこで共同研究では、月面施設で作物を栽培する「月面農場」の実現を目指して、技術開発を行った。地球上と異なり、月面での作物栽培には、栽培に多量の水を利用できないこと、病害虫発生リスクを徹底的に防止する必要があること、さらには低圧環境であることなどの制約がある。
　キリンが開発した「袋型培養槽生産技術」は、・・・

※画像＝袋培養と月面農場のイメージ（提供：キリンホールディングス）