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日米共同方面隊指揮所演習(YS-77)がスタート
「共に未来へ」、日米が肩並べ勝利獲得目指す
陸上自衛隊・東部方面総監部は12月9日、「令和元年(2019年)度日米共同方面隊指揮所演習(日本)(YS-77)」(通称:ヤマサクラ)の様子を報道陣に公開した。ヤマサクラ-77は既報の通り、12月3日から16日までの間、参加部隊などの所在する朝霞駐屯地、健軍駐屯地、キャンプ・コートニーなどで実施することとなっており、12月3日から9日までは機能別訓練を、10日から16日までは総合訓練を行うこととなっている。9日の報道公開では、総合訓練に向けた日米共同結団式を公開しただけでなく、実際の指揮所の様子も初公開した。
日米共同結団式には、朝霞駐屯地でヤマサクラ-77に参加している日米の隊員がそれぞれ300名程度参加。さらに、米国側のオブザーバーとして豪州陸軍から16名、カナダ陸軍から8名が参加したほか、米国の勤務員として英陸軍からも2名が参加した。豪州陸軍からのオブザーバー参加人数は昨年の13名から3名増えており、過去最多の参加人数となったとのこと。
日本の演習部隊長である東部方面総監の小野塚貴之陸将は訓示として、「共同連携のための有機的な指揮幕僚活動を実施せよ」、「日米の相互理解および絆を深めよ」の2点を要望。日米共同による着上陸対処、ゲリラ・コマンドウ、テロ攻撃対処への対処のため、情報共有の迅速化・最適化、状況判断の適切化を図るべきと語り、これまでに日米間で構築した日米調停組織ー共同バトルリズムーを最大限活用し、有機的な指揮幕僚活動を行い、日米共同要領を更に深化しなければならないとした。そして、日米が戦術立案や業務の進め方などについて相互の考え方を理解し、互いに歩み寄り最良の方策を案出してもらいたいとし、「日米が肩を並べ、大きな成果と充実感を持って勝利を獲得することを期待する」として、訓示を終えた。
米国側演習部隊長の第1軍団長ギャリー J.ヴォレスキー陸軍中将は、「米陸軍第1軍団はこの日米共同演習がアジア太平洋地域における安全保障の一つの鍵と考えている」とし、「統合陸上作戦の実施に必要な互いの能力を今年のヤマサクラでは更に信頼と自信に繋げたい」と述べた。そして、「将兵こそ我らの力であり、共に共同できる能力があれば、全ての力が強力に発揮できるようになる」と強調。「我々の能力を持ってすれば、如何なる敵対勢力に対しても抑止する能力を備えた共同能力を構築していくものと確信している」と訓示した。
そして、小野塚陸将が「Together for the future」と、ヴォレスキー中将が「共に未来へ」とかけ声を発し、式典に参加する全隊員が同じくかけ声をあげて、今年のヤマサクラの集大成となる総合訓練への士気を高めた。
日米の指揮幕僚活動の維持・向上図るため重要
各組織の能力を連携・発揮のため演練する貴重な機会
厳重警備の演習会場、日米隊員が共に昼夜間勤務
日米親善行事で相互理解そして絆を深める
予備自衛官も衛生、情報処理要員が新たに参加
※写真=日米共同結団式の場で握手する東部方面総監の小野塚貴之陸将と米第1軍団長ギャリー J.ヴォレスキー陸軍中将
※写真=日米の部隊指揮官は「共に未来へ」とかけ声をあげ、共同して総合訓練望むべく、士気を高めた
※写真=鉄条網と規制線で囲われた演習実施会場の建物。入館には検査場を通る必要がある等、極めて厳重な警備が敷かれている
※写真=初公開となった内部での日米調整の一幕。日米の広報が、演習内におけるメディア対応について調整を行っているところ
※写真=機能別訓練では課業後に親善行事を実施。通訳要員を用意することで、米国の隊員たちは書道やけん玉、こま回しといった日本の伝統文化をスムーズに楽しむことが出来た
※写真=文化交流を楽しむ両国の隊員、「サムライヘルメット」を被っての一枚。また書道でも思い思いに書く、お手本を忠実に再現するなど個性が見られた