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2018.06.06

ウイングトラベル

観光白書が閣議決定、国際観光客数11位に

訪日外客の増加がもたらす経済効果を重点記載

 政府は6月5日、2018年度版の「観光白書」を閣議決定した。2017年は訪日外国人旅行者数は前年比19.3%増の2869万人となり、3000万人目前に迫る結果となった。一方で、日本人の国内宿泊旅行は4億2019万人泊となり、昨年から0.7%減となった。日本人の海外旅行者数は4.5%増の1789万人となり、昨年に引き続き増加する形となった。国内旅行については年後半の3連休に大雨や台風が到来したことがマイナスに作用する結果となった。また、今年の白書では近年の訪日インバウンドの増加が日本経済にさまざまな影響をもたらしている状況であることを踏まえ、旅行消費に計上されない効果を含め、幅広い観点から分析した内容を重点的に掲載した。
 日本の観光動向の分析に先駆けて、観光白書では国連世界観光機関(UNWTO)がまとめた世界の観光動向を紹介した。それによると、2017年の国際観光客数は前年比6.7%増の13億2000万人となった。国際観光客受け入れ数の到着地域別シェアを見ると、欧州のシェアは50.8%と依然として高いものの、直近10年間では3.9ポイント減少する格好となった。一方でアジア太平洋地域のシェアは24.5%となり、2007年に比べて4.3ポイント増加するなど高い伸びを見せている。
 

 

 トップ10入り射程に、空路・海路限定では6位

 2016年の外国人旅行者受け入れ数ランキングで日本は世界で16位、アジアで5位となったが、17年実績(2869万人)を16年ランキングにそのまま当てはめると5つ順位を上げ、オーストリア(2812万人)を上回る11位相当となり、いよいよトップ10が射程に入ってきた。また、空路、海路に限定すると日本は16年ランキングで7位となっているが、これにも17年の実績を当てはめると1つランクアップして6位に相当する順位となっている。
 国際観光収入ランキングを見ると、16年は307億ドルとなり、世界で11位、アジアで4位のポジションとなっている。また、17年の国際観光収入は340億ドルとなっており、香港、オーストラリアを上回り9位に相当する結果となっている。
 日本の観光におけるインバウンドとアウトバウンドの状況を見ると、昨年の訪日外客数の内訳では、アジアが2434万人となり、全体の84.8%を占めた。このうち東アジアからは2129万人が訪れ初めて2000万台の大台を突破した。タイ、マレーシアなどASEAN6カ国からの訪問者は全体の10.2%に相当する292万人となった。このほか、北米は168万人、欧州主要5カ国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)では初めて100万人を突破した。
 アウトバウンドに関しては4年ぶりに増加に転じた2016年の1712万人から17年はさらに増加し、1789万人となった。一時期低迷していた欧州諸国への訪問客が大きく回復基調に転じたことにより、2年連続で前年比プラスの達成につながった。