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2020.01.17

WING

PDエアロスペース、宇宙港事業を立ち上げへ

「本州ではないどこか」で宇宙港ビジネス展開計画

 宇宙機開発を手掛けるPDエアロスペースが、宇宙港ビジネスを立ち上げる計画にあることが分かった。緒川修治社長が明らかにした。緒川社長によれば、宇宙港ビジネスへの展開について、「宇宙港会社をPDエアロスペースの一つの事業としてスタートするということの株主合意を得ている」としており、現在推進中の宇宙機開発事業とは別に、イメージとして「別会社」のようなかたちで宇宙港事業を立ち上げる考えを明らかにした。
 宇宙港の整備は、何もゼロから建設するのではなく、民間航空で利用している既存空港を一部限定的に宇宙港として活用することが、基本的な考え方。PDエアロスペースとしても、こうした既存インフラを活用すべく、国内3カ所、海外1カ所を宇宙港候補地として現在検討中だ。緒川社長は「国内は1カ所に集中する予定」にあるとしており、3カ所ある拠点候補地を一カ所に絞る方針だ。
 その候補地について、「近々発表したい」としており、具体的な動きがある様相。その候補地としては、「本州ではない」としたが、具体的な拠点の明言は避けた。
 国内では先日公開した到達高度10kmまで飛行することができる無人機「PDAS-X06」号機の飛行試験拠点となる北海道大樹町の大樹実験場を含め、3カ所の候補地が挙がっている。
 緒川社長も、大樹町を拠点とすることは「選択肢として残っている」としているが、1つ課題となりそうなポイントが大樹実験場の滑走路長さだ。同実験場の滑走路の長さは1000メートル。3月中旬にも初の飛行試験に臨む「PDAS-X06」号機ならばこの滑走路長でも十分だが、その後に開発する「X07」号機についても機体設計として「滑走路長1000メートルの設計要件を満たすが、最初の機体でもあるため、より長い滑走路のところとも交渉中」であるとしている。
 またこれまでPDエアロスペースは、沖縄県が実施した下地島空港の活用案の公募で、宇宙港拠点とする構想案を沖縄県に申請。ただ、結果としてPDエアロスペースが提出した案は採用が見送られた経緯もある。採用見送りとなった当時、緒川社長は本紙の取材に対して、「リベンジしたい」とも話していた。・・・

 

■国内で盛り上がりつつある国内宇宙港

 

※画像=PDエアロスペースが宇宙港ビジネスに参入を計画していることが明らかに。国内の宇宙港整備が加速することが期待できそうだ。コロラド・エア&スペースポートの宇宙港イメージ(提供:コロラド・エア&スペースポート)

※写真=PDエアロスペースの無人機「PDAS-X06」号機。同機は早ければ3月にも北海道・大樹実験場で飛行試験を開始する