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2018.06.13

WING

航空局、部品脱落防止措置で技術基準制定へ

相次ぐ部品脱落、技術基準等制定で対策強化

 

 航空機からの部品脱落が相次いだことによって、社会問題となっていることを踏まえ、航空局は部品脱落防止措置に関する技術基準案などを制定する方針を固めた。
 旺盛な訪日需要に加え、首都圏空港の発着容量拡大を目指しているなか、部品脱落事故が相次いだことで空港周辺住民に不安が広がり、更なる航空機発着容量拡大に冷水を浴びせかねない事態。そこで航空局としては技術基準案などを制定することで、部品脱落防止対策を強化したい狙いだ。
 航空局としては、今年7月頃にも技術基準などを盛り込んで航空法施行規則を改正し、来年1月には新たに経営の許可を受ける本邦航空運送事業者および航空機使用事業者を対象に、3月頃には新たに経営の許可を受ける外国人国際航空運送事業者を対象に施行死体考え。ただし、施行のタイミングで経営の許可を受けている本邦航空運送事業者、航空機使用事業者又は外国人国際航空運送事業者については、それぞれの施行日から2週間以内に部品等脱落防止措置に係る各通達に従って事業計画に記載するよう経過措置を設ける方針だ。
 航空機の部品脱落防止では、これまでも整備・点検などを通じて未然防止にエアライン各社などが務めてきた。それでも昨年9月には成田空港に向けて飛行中の全日空機のパネル部品が脱落して、茨城県稲敷市の会社敷地内で発見。最近では今年5月に熊本空港を飛び立った日本航空(JAL)の機体から、エンジン部品が脱落し、民家などへの被害が発生した。
 そうしたなか航空局としては、本邦航空運送事業者、航空機使用事業者及び外国人国際航空運送事業者において、最大離陸重量が5700キログラムを超える飛行機の運航に伴う部品等の脱落の防止に関する措置が適切に講じられるよう、航空法施行規則の改正に踏み切ることを決めた。部品等脱落防止措置の技術基準として「部品等脱落防止措置に関する技術基準」及び「部品等脱落防止措置に関する技術基準細則」(技術基準等)を新たに制定するなど、部品等脱落防止措置に関係する通達の整備を行う方針だ。

 

情報収集・分析・評価する技術管理体制構築へ

 

 具体的には、事業者は飛行機の運航に伴う部品等の脱落に関して、情報の収集、分析及び技術評価を行い、これらの結果を踏まえた対策を策定し、実施する体制を整備しなければならないなど、技術管理の体制の構築を構築しなければならない。事業者がこの対策の実施を外部委託する場合には、委託先に対して、対策が適切に実施されるよう必要な措置を講じなければならないことにする考え。
 また、技術的資料の採用について事業者は、飛行機等の製造者が作成する技術的資料の内容に従って、飛行機を整備しなければならないことにする。ただし、製造者が技術的資料の内容と同等以上に部品等の脱落の防止に有効と認める対策に従って飛行機が整備される場合にあっては、この限りではないという。ちなみに事業者はそうした内容以外に部品等の脱落の防止に有効な対策がある場合には、積極的にこれを実施するよう努めなければならないとしている。
 その他、事業者は部品等の脱落に関して、情報の収集、分析及び技術評価を行い、これらの結果を踏まえた対策を策定し、実施するものとする。さらに事業者は、事業者独自に行われる対策であって、他の事業者にも有効と判断し得るものについては、航空局に対して情報提供するよう努めなければならないとする方針。
 また実際に部品等が脱落した場合、脱落した部品等について個々の事案ごとに情報の収集、分析及び技術評価を行い、これらの結果を踏まえた対策を策定し、実施しなければならない。
 なお教育訓練については、事業者は航空機乗組員、整備従事者及び地上取扱業務に従事する者に対して、当該者の職務の内容及び経験、部品等脱落防止措置の内容を踏まえた教育訓練の課目を設定して、教育訓練を行わなければならないこととする。事業者が教育訓練について外部に委託する場合には、委託先に対して、教育訓練が適切に実施されるよう必要な措置を講じなければならないものとする方針だ。