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2020.04.03

ウイングトラベル

2月の航空旅客需要、9.11以降最大の落ち込み

世界全体RPK14%減、アジア太平洋41%減

 国際航空運送協会(IATA)が4月2日(ジュネーブ現地時間)に発表した世界全体の2月の旅客需要動向実績によると、新型コロナウイルスの感染拡大により、需要を示すRPK(有償旅客キロ)が前年同月比14.1%もの急激な落ち込みとなったことが明らかになった。IATAによると、これほどダウンしたのは2001年の9.11米国同時多発テロ発生以降という。供給を示すASK(有効座席キロ)も8.7%減少しており、搭乗率は75.9%と、4.8ポイント下降した。
 とりわけ感染源となった中国市場のあるアジア太平洋地域のRPKは壊滅的。前年同月比41.3%もの減少に見舞われてしまった。
 ちなみに、新型コロナウイルスの感染拡大源となった中国の国内線市場のRPKは、IATAが市場動向の観測を開始した2000年以降、最悪のものとなった。

 

 3月以降は「目を覆いたくなる数字が並ぶ」
 コスト削減以外に打つ手なし、業界最大の危機

 ただし、3月以降の実績は、9.11以降で過去最悪な数字とされたこの2月実績がまだよく見えるほどの目を覆いたくなる数字が並ぶことが確実とされる。
 IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは2月の実績を振り返り、「航空会社は新型コロナウイルスというハンマーで殴られた」とコメント。「ウイルスの感染拡大を阻止するべく、国境が閉鎖された。航空会社は生き残るためにコストを削減する緊急措置を講じる以外、何の手も打つことができなかった」とし、感染拡大を防ぐために各国政府によって急速に進んだ渡航・入国制限措置の前に、航空業界が震撼したことに言及。その上で、「これは間違いなく業界最大の危機だ」とし、これまで数多の危機を乗り越えてきた航空業界において、過去最大の危機に直面しているとの認識を示した。

 

 アジア太平洋の国際線、RPK30.4%減と急落
 中東国際線、RPKが1.6%増加も成長鈍化
 中東−アジア太平洋線減速が重しに
 北米国際線、RPKは2.8%減とマイナスに
 渡航制限などで北米−アジア路線需要低迷
 IATA観測史上、最悪の中国国内線市場
 米国国内線RPKは10.1%増も後半に向かい減速