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装備庁、空中発射型電子妨害装置の情報提供募集
メーカーと商社に情報求め、技術的方策検討
防衛装備庁は6月14日、空中発射型電子妨害装置に関して、技術的方策を検討するため情報提供する意志のある企業の募集を公示した。情報提供企業については「空中発射型電子妨害装置等の小型飛翔体システム」のメーカーと輸入商社を規定している。
情報提供意志のある企業は7月12日までに連絡先の防衛装備庁技術戦略部技術計画官(03-3268-3111内線26193)まで連絡し、7月13日午後5時までに情報提供意志表明書と情報提供企業の照明資料を提出することとなっている。その後、情報保全の誓約書提出、意見交換後に正式な情報提供依頼(RFI)が発出される。情報提供の使用言語は日本語とされる。
空中発射型電子妨害装置は軍用機が敵の電波追尾ミサイルを回避するためのもので、従来の電波妨害を行うチャフ(アルミ蒸着片)の散布では動きが遅く、航空機の疑似目標として現代のミサイルでは見破られ、回避効果が弱くなっている。このため、より大型の飛翔体を発射して、積極的に疑似目標電波を発信して電波誘導ミサイルを撹乱し、自機を防護するため空中発射型電子妨害装置の開発が欧州では既に行われている。
日本では、かつてF-15搭載用としてチャフ/フレア発射装置から射出可能な超小型電波妨害装置の試作が行われたことがある。富士通が主契約者となり、日本飛行機が空力性能面で協力し、ペンシル状の小型飛翔体が作られたようだが、当時の電子技術では発信電波の強度や持続時間などが妨害効果を発揮するには足りなかったものか、量産はされなかったようだ。
今回装備庁が想定している空中発射型電子妨害装置の規模は明らかにされていない。装備庁では今回の情報提供企業募集を、ライフサイクルコスト全般を通じて最も費用対効果に優れた装備品の取得実現のための情報収集の一環としている。つまり、国内開発、輸入などの選択肢を想定するが、将来の新事業開始の決定、契約業者選定手続きには一切影響を与えるものではないとしている。
実用例は英空軍のブライトクラウド55
レオナルドが開発、輸送機用も今後導入
外国での開発例ではレオナルドのブライトクラウド(BriteCloud)55があり、これは英国にある同社子会社が開発してトーネード攻撃機に既に装備されているという。直径が55ミリ、飲料缶サイズとなっている。F-16に搭載できるブライトクラウド218、さらにより電波出力の大きい輸送機用のブライトクラウド55-Tも開発中という。