記事検索はこちらで→
2020.04.28

WING

ボーイングCEO、”社会的距離”で将来機設計は変化か

「次の航空機設計着手に考慮」、渡航需要回復は「2-3年」

 ボーイングのデイビット・カルフーン社長兼最高経営責任者(CEO)は4月27日(現地時間)に開いた株主総会で、世界が新型コロナウイルスによる危機を通じて”ソーシャル・ディスタンス”(社会的距離)を求めるようになるなど、航空機およびその客室空間を取り巻く環境が変化しようとしている状況にあるなか、将来のボーイング機のデザインがどのように変化していくかを問われたところ、「顧客である航空会社などと共に、客室環境がどのようなものになるかということを定義しようとしている」ことを明かし、新型コロナウイスルがボーイングの将来機の設計思想にも大きな影響を及ぼす可能性を示唆した。
 新型コロナウイルスで航空需要が大きく減退した背景には、もちろん各国政府が講じた厳しい出入国規制があるが、旅客がいわゆる”3密”(密集、密閉、密接)を避けたことが大きな理由の一つだ。航空会社は機内の空気循環システムを説明するが、それでも利用者の不安を払拭することは難しい。そのため航空会社のなかには、例えば横3席並ぶ座席の真ん中の席を潰して、旅客同士の距離を確保しようと試みる動きも生まれた。
 カルフーンCEOは「我々全員にとって、これは学びの経験になるだろう。次の航空機の設計に着手する際には、このことを考慮に入れようと思う」と話すなど、将来機の設計思想を策定する過程において、新型コロナウイルスがもたらした機内環境などに関する教訓を盛り込む可能性を示唆した。

 機体需要「当初ゆっくり、その後勢い増す」

 また、航空需要が大幅に落ち込み、各国の航空会社が危機に直面していることに触れつつ、「パンデミック前の2019年の水準に回復するまでには2年〜3年かかる」との見方を示し、旅客需要の回復はゆっくりとした曲線を描くだろうことにも言及した。
 「航空会社は事業を見極めており、運航を劇的なまでに削減しており、保有機材の運航を停止しているほか、航空機の発注延期、受領計画の先送り、あるいは支払いの遅延もしくは停止という難しい決定を下している。さらに航空会社は航空機の退役を加速しており、旅客に提供することが可能なサービスが減少している」と現状を分析。一方で「人々が再び航空輸送を使った旅行・渡航を再開することは間違いない」として、「顧客である航空会社の事業は再び安定する。航空会社は、変化する交通需要に対応するだけでなく、新しく美しい新型機を購入して、それを運用する必要がある」として、航空会社による機体需要についても、航空会社が回復するに連れて、「当初はゆっくりと回復し、そしてその後は勢いが増す」との見方を示した。

 新型コロナが将来のMAX需要に影響も
 「MAXに自信がある」と強気の姿勢も
 サプライヤーは深刻な課題に直面
 ボーイング復活を誓う