ウイングトラベル
★UNWTO、20年の国際観光客数60-80%減予測
国際観光の回復、2021年以降との予測が4割
国連世界観光機関(UNWTO)は、2020年の世界の国際観光客は年間60%から最大80%減少する可能性があるとの推計を発表した。2020年第1四半期(1-3月)は22%減少し、なかでも3月は多くの国で入国制限や空港・国境封鎖などの旅行制限が広範囲に行われたため、3月単月の国際到着客数は前年同月比57%減と6700万人もの需要が消失、観光支出は3月だけで約800億米ドル(約8兆5000億円)の支出が失われたと推計している。
エリア別の国際観光客数の動向をみると、最も落ち込み幅が大きいのはアジア太平洋地域で、2019年の4%増から、2020年第1四半期は35%減(到着客数は3300万人減)と大きな打撃を受けた。ヨーロッパは4%増から19%減(到着客数は2200万人減)で、減少幅は少ないものの絶対数は大きくなった。また、北中南米は2%増から15%減に、アフリカは6%増から13%減に、中東は7%増から11%減へとそれぞれマイナスに転じた。世界全体では、2019年の4%成長から、2020年第1四半期は22%減と、観光市場は一気に悪化した。
UNWTOでは、2020年の回復シナリオとして、3つのシナリオを描いている。コロナ発生以来、年間見通しは数回にわたって下方修正されており、いまだに不確実性が高いとしつつも、現時点で考えられる3つのシナリオのうち、国境の段階的な開放と旅行制限の緩和を「7月上旬」とする最も楽観的なシナリオでも、2020年の国際観光客数は前年より58%減少すると予測した。「9月上旬」のシナリオでは70%減、「12月初旬」では78%減まで減少幅が拡大すると予測している。
これらのシナリオに基づけば、2020年の国際観光客数は前年に比べて8億5000万人から11億人減少するほか、観光による国際支出は9100億米ドル(約96兆7000億円)から1兆2000億ドル(約127兆5000億円)が消失すると予測。これにより1億人から1億2000万人もの観光による直接雇用が失われる可能性があると試算している。