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2020.05.21

ウイングトラベル

★IATA、ポストコロナの階層的防疫対策を提唱

 接触追跡調査や免疫パスポート開発など支持

 国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルスの感染拡大で、大幅に縮小してしまった航空旅客便の再開に向けたバイオセキュリティーに関する階層的なアプローチ案をまとめた。
 このなかで出発前、飛行中、到着空港など、各段階におけるバイオセキュリティーのあり方案を提唱。政府が渡航者の健康状態を保証する、いわゆる免疫パスポートの開発を支持する姿勢を示したほか、ウイルス持ち込みによる感染拡大を防ぐための接触者追跡調査も支持するなど、ポスト・コロナ時代の航空輸送における防疫対策のあり方の姿がみえてきた。ちなみに、機内においては旅客はフェイスカバーを、乗員もマスク着用を求めるほか、簡素化したかたちのサービスや事前にパッケージ化されたケータリングによって乗客と乗務員との接触機会を減少することやラバトリー使用の列を禁止するなど、客室内混雑を軽減することなどを推奨した。

 

■IATAが提唱するバイオセキュリティーの階層的アプローチ

〈搭乗前〉
 ・搭乗者の健康情報を含む搭乗者データを事前に収集することが予測される
が、この際にはeVISAや電子渡航認証プログラムで使用されているような十分
にテストされたチャネルを活用して行う必要がある
 ・ターミナルビル内へのアクセスは、空港もしくは航空会社などの関係者お
よび旅行者に制限されるべき。この際、障害を有する旅客や同伴者のいない未
成年に対しては、例外規定を設定する
 ・訓練を受けた政府職員によるターミナルビル入口での体温検査の実施
 ・現地の規定に沿って旅客のフェイスカバーおよびスタッフのマスク着用
 ・チェックインや搭乗などに際して発生する列の管理を含む、ソーシャル・
ディスタンスの確保
 ・列を減らすために、可能な限り旅客がセルフチェックインサービス(リモ
ートチェックイン、自動手荷物預け機、セルフボーディングなど)の利用
 ・効率的な搭乗の実現(混雑緩和のために再設計した搭乗口エリア、優先搭
乗、手荷物制限など)
 ・現地規制に沿った高接触エリアの清掃と消毒(手指消毒剤の広範な利用)

 

〈飛行中〉
・全乗客はフェイスカバー、乗務員はマスクを着用
・簡素化したかたちのサービスと事前にパッケージ化されたケータリングによ
り、乗客と乗務員との接触機会の減少
・ラバトリーの列を禁止するなど、客室内混雑を軽減
・機内の清掃の強化と頻度の向上

 

〈到着空港時〉
・当局が必要とする場合は、訓練を受けた政府職員による体温検査
・モバイル・アプリケーションや生体認証技術の利用を含む税関・国境管理の
ための自動化された手続き処理と手荷物回収を迅速化し、列に並ぶ機会を減ら
すなど混雑緩和を図りソーシャル・ディスタンスを確保する
・ウイルスの持ち込みによる感染拡大リスクを減らすために、各国政府は健康
宣言と強固な接触追跡調査を行うことが期待される

 

※写真=IATAのポスト・コロナの防疫対策の階層的アプローチ。航空輸送は大きく変わり、免疫パスポートなどの導入も予想される