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2020.05.25

WING

中部空港、政府保証債を前倒し、最大178億円調達

19年度、コロナ影響で旅客100万人・50億円喪失

 中部国際空港会社の各務正人副社長が5月22日、都内で記者会見に臨み、6月にも政府保証債を前倒しで発行して、国の予算で認められている満額の173億円の資金調達に乗り出す方針を明らかにした。
 中部空港は昨今、空港南側地区の整備事業などにより、固定資産取得による支出が増大。そこに新型コロナウイルスの感染拡大危機が追い打ちをかけるかたちで現金流出が拡大したことで、2020年3月期期末の現金・同等物の期末残高が、対前度年比151億円減少した98億4000万円にまで縮小していた。
 新型コロナウイルスの影響について各務副社長は、「売上・利用客数は1月までは対前年10%を超える率で伸びてきた」と振り返りながら、「対前年で同程度の伸びを2-3月も継続していたと仮定するならば、旅客数は実績と比較して100万人くらいは増加した思っている。売上についてもざっくりと50億円以上の影響があったと分析している」ことを明らかにした。ちなみに、2020年3月期決算では、売上高は対前年度比2%拡大した655億8000万円、旅客数も2%増加した1259万人だった。
 そうしたなか手元の現金流出が続く状況について各務副社長は「当面直ちに経営に行き詰まるような事態ではない」との認識を示しながらも、「一方でキャッシュがどんどん流出しているなかで、手元のキャッシュが厳しくなるという事態は避けなければならない」として、「政府保証債を前倒しで発行させていただくかたちで進めさせていただいている」ことを明かした。
 この173億円の政府保証債の発行によって、「当面のキャッシュフローについては対応することができる。当面はそこまでだと思っているが、いずれにしてもこの状況がいつまで続くのか、どの程度の深度で続くのかということで変わってくるので、この点については状況に応じて対応する」としている。
 中部空港会社によれば、中部空港会社の政府保証債は毎年予算によって決まっており、基本的には政府保証債の償還期限が到来する額が、どのくらいかということに左右される。ちなみに2019年度の政府保証債の償還額は45億円で、それに対して予算としては34億円が認められ、最終的に29億円分を発行したとのこと。今年度は208億円を償還し、借り換えなどで173億円が予算化されており、その満額を発行することにした。

 

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※写真=記者からの質問に応える中部国際空港会社の各務正人副社長