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2020.06.18

WING

ボーイング、機内衛生環境向上で紫外線活用の新技術開発

清掃時の紫外線照射棒やトイレ使用毎に紫外線自動照射も

 新型コロナウイルスの感染拡大でバイオセキュリティー(防疫)対策の強化が人々の生活のなかに深く組み込まれつつある。そうしたなか航空機産業界ではボーイングが、航空機内の衛生環境をさらに向上すべく、様々な新たな技術開発に取り組んでいる。
 航空会社向けに紫外線照射による機内除菌ツールを開発中のほか、旅客がラバトリー(トイレ)を使用する度に自動で紫外線を照射して除菌するシステムの開発に取り組み中だ。その他にも、新たな化学物質を用いた消毒液や新素材の除菌コーティングなどについても開発を進めているという。ボーイング民間航空機部門プロダクト・ディベロップメント担当ディレクターのジム・ハース氏が6月18日に明らかにした。
 また航空業界を未曽有の危機に陥れた新型コロナウイルスの感染拡大を機に、将来の航空機設計そのものが変わる可能性についてハース氏は、「これまで多くの航空会社との間で将来機設計に対する見解をヒアリングしてきたが、新型コロナを機に変更を求めるような声はあまり出てきていない」とし、「唯一の例外として、清掃・消毒作業がより易くなるようにすることや自動消毒機能などを求める声があった」ことを明かした。
 なお、一部の航空会社では中央席を利用しないことで旅客同士の一定の距離を確保する対応を講じているが、この点についてハース氏は「客室内の空気は上から下に向かう垂直方向に流れている。乗客全員がマスクを着用すれば、隣に旅客が座ったとしても心配はない」との見解を示した。

 

紫外線照射ツール、1年ほどで開発も
操縦室など除菌しにくい場所も容易に

 

自動紫外線照射トイレの開発には数年も
全機種に適用、レトロフィットも可能

 

抗菌コーティングスプレー、「効果は1カ月~数カ月持続」
酸化剤や第4級アンモニウムカチオンら候補

 

現状も安全安心な防疫対策
高性能フィルターや2~3分で全空気入れ替え

 

消毒時に超微細粒子ミストスプレーの利用控えて
搭載機器内部に入り悪影響も

 

※画像=ボーイングが開発中の紫外線を自動で照射して消毒するトイレ(提供:ボーイング)

※写真=機内の空気循環システム。空気は常に上から下に流れる。全空気の入れ替えは2-3分だ(提供:ボーイング)


※動画=機内の空気循環を解説した動画(提供:ボーイング)