ウイングトラベル
中国人訪日客1000万人時代見据えて受入整備
中連協総会、さらなるビザ緩和へ失踪防止徹底
中国からの訪日観光客の受入手配を行う日本側指定旅行会社が加盟する「中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会」(中連協)の第19回総会が6月27日に開催されたが、中国からの訪日観光客1000万人時代を見据えて、急速に進む個人化や多様化に対応し、安心安全の受入体制整備を進める必要性などが指摘された。また、中国人観光客向けに一層のビザ緩和を進めるためには、失踪防止対策の徹底が不可欠として、外務省から中連協会員に協力が求められた。
吉村会長「中国はもはや一つの市場ではない」
個人化と多様化への対応急ぐ、安心安全重要に
冒頭挨拶した吉村久夫中連協会長は、「昨年の中国からの訪日旅行者数は前年比15.6%増の736万人に達し、訪日客数全体の25.6%、ほぼ4分の1を占めた。今年の訪日客数はこのままいけばほぼ間違いなく3000万人を超え、2020年の4000万人も射程圏内に入ってきたが、4000万人時代には単純計算で1000万人の中国人が日本へ来る。一国で1000万人が来るインパクトは計り知れない」として、中国市場が日本に与える影響はさらに増すものと予測した。
また、中国市場は訪日客数という数の増加だけでなく、中身が大きく変化しており、「個人化、リピーター化の流れがますます加速化している」と指摘。昨年は、団体観光ビザの発給数が2割減少した一方で、個人観光ビザは3割増加し、個人客が急増。また、訪日客全体の約4割を2回目以降のリピーターが占めており、リピーターは過去5年間で7倍に増えたとしている。
旅行形態や訪問地も多様化しており、そうした傾向はますます強まるだろうと見通した。その一例として、2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催を挙げ、「中国政府は2025年にスキー人口3億人の目標を立てている。今後、中国でのスキー人口拡大が予想され、雪質のいい日本にスキー目的で来る旅行者も増えてくるだろう」と予想、「こうしたマーケットに正対していきたい」と意欲を示した。
吉村会長は、「中国はもはや一つの市場ではない。中国市場がますます多様化していくことは間違いない」として、「個人化、多様化、安心安全をキーワードに、中連協がその役割をしっかり果たしていきたい」と述べた。
今年は旅行関連法制の見直しも進んでおり、去る1月4日に改正通訳案内士法・旅行業法、6月15日に民泊新法が施行されたことは周知の通り。中国関連では、2月より中国人個人観光ビザの帰国報告書が撤廃されており、「より実態に即した形で環境が整備された一方で、ますます我々の責任も重大になっている」と気を引き締めた。
中連協の総会は、今年で19回目を迎え、中国からの訪日旅行市場の健全な成長に大きな役割を果たしてきている。吉村会長は、「事業計画をしっかり遂行し、中国からの訪日需要盛り上げを図りたい」と会員のさらなる協力を呼びかけた。
※写真=吉村久夫中連協会長