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2018.07.02

ウイングトラベル

日本システム開発、NDCセミナー開催

新ソリューション「タビエ」も訴求

 

 日本システム開発(NSK)は、先日都内で「NDCの普及とサービスの多様化」と題した旅行会社向けセミナーを開催した。昨今注目を集めるIATA(国際航空運送協会)が提唱する新しい流通規格であるNDC(New Distribution Capability)のこれまでの経緯や最新動向について、航空/旅行流通関連のコンサルティングを行う航空経営研究所/フォーカスライトの牛場春夫氏が講演。業界内で関心の高いテーマとなったことで、定員60名を大幅に上回る80名が来場した。またセミナーでは、NSKが今年発表した旅行業顧客管理システム「タビエ」を紹介、今後の展開についても説明した。なお同セミナーは、7月12日に大阪でも開催される予定だ。
 セミナーでは、まずNDCが生まれた背景について説明。インターネットの普及により航空会社(レガシーキャリア)がオンライン予約による直販を開始、航空会社主導による流通ルートが確立した一方で、LCCが台頭。航空会社はLCCに対抗するために、需要変動型運賃や付帯(アンシラリー)サービスを導入、また流通コストの削減を進めたが、従来のGDSを軸とする流通システムでは充分に対応できなくなったことで、新たな流通のあり方としてIATA よりNDCが提唱されたという流れだ。
 インターネット導入期の段階では、GDSが流通の中心となっていたが、航空会社による直販が増えたことでそのモデルは変容。牛場氏は来るNDC時代における流通チャネルを、「NDCの規格を満たした航空会社との直接接続」「航空会社が提供するNDCの規格を満たした旅行会社向けの予約手配用ウェブサイト経由」「NDCの規格を満たしたGDS(NDCではアグリゲーターと呼ぶ)経由」「NDCの規格を満たした新たなアグリゲーター経由」の4つになると予測。このうち前者2つは航空会社ごとの接続となるため、他社との比較ができなく、特に直接接続には旅行会社のコスト負担が大きくなると指摘。後者2つに関しては、NDC対応をしたGDS(アグリゲーター)と、新たなテクノロジー・プロバイダーによるアグリゲーターを選定する時代になるとした。
 一方、NDCの導入メリットについて、牛場氏は航空会社と旅行会社に分けて紹介。航空会社にとっては、流通のコントロール権を握れるだけでなく、LCCに対抗したダイナミックな運賃設定や市場への迅速な対応が可能な点、流通コストの削減やアンシラリー収入の増加など、また旅行会社にとっては航空会社の直販サイト同様のリッチコンテンツの販売が可能となるほか、リアルな在庫と直結できること、豊富なプロダクト販売が可能な点、ADMがなくなることによる正確性の向上、パーソナルな提案が可能となるなどのメリットがある。
 今年までにはIATA加盟航空会社全体の55%を占める55の航空会社がNDC認証を受けるとIATAでは予測。さらに2020年には、その比率は80%に達すると見ている。ただしこの数字は、あくまでもNDCの認証を受けた航空会社の輸送量の比率であって、すべてがNDC経由の予約ということではない。なおNDC経由による予約比率については、2020年までにNDCをリードする20の航空会社において、最低20%をNDC経由による予約にする指標を立てている。
 最後に牛場氏は「旅行会社のNDC対応が迫られる。顧客との関係をどのように強化するのかという旅行会社にとって本質的な問題が問われている」と訴えた。

 

旅行業顧客管理システム「タビエ」登場
来年以降、機能拡張も予定

 

 NSKからのプレゼンテーションでは、今年4月に同社ソリューション本部顧問に就任した小山文宏氏が「旅行業の昔と今」をテーマに、自身の経験やエピソードを交えながら、航空券の発券など、これまでの旅行手配について説明。「アナログでコストの掛かっていた旅行手配に旅行システムが導入され、もはやシステムは旅行会社にとって欠かせないものとなっている」と強調した。
 同社が今年発表した旅行業顧客管理システム「タビエ」は、同社の主力ソリューションである旅行業総合システム「タバサ」の後継にあたる。現在は、株式会社全旅の連携により、全国旅行業協会(ANTA)加盟の国内系小規模旅行会社向けに提供。加えて小規模旅行会社向けに、カスタマイズ可能な「タビエplus」も用意する。
 今後は来年春を目処に、GDS連携とカスタマイズ可能な小規模インハウス向け製品のリリースを予定。さらに2020年春には、中規模旅行会社向け総合版の製品化を目指している。

 

※写真=(左)セミナーの様子。牛場氏がNDCについて解説(右)NSK小山氏