ウイングトラベル
ミャンマー、10月から日本人観光ビザ免除
日本人観光客誘致促進への活動を強化へ
ミャンマー政府は今年10月から日本からの観光目的での入国者に対するビザを免除する方針を決定した。これを受けて、同国の旅行会社、宿泊施設、ランドオペレーターなどで構成するミャンマー観光連盟は現地の観光インフラの拡充を積極展開するとともに、日本からの観光客誘致に向けた活動を一層強化する。日本市場担当のPRエージェントを通じて、日本人からの認知が低いビーチリゾートや自然、文化関連などといった観光資源のプロモーションを強化するとともに、旅行会社向けのセミナーや視察旅行の実施にも積極的に取り組んでいき、商品造成の後押しを行っていく考え。同国への日本人渡航者は2016年に約3万5000人だったものが、17年には約3倍の9万5000人まで増加した。そうしたことから、今回の観光ビザ緩和を契機に、日本人訪問客数の大幅な上積みを狙っていきたい考えだ。
観光ビザの免除は、ミャンマーの観光産業を一層促進していくことを目的に実施するもの。今回は日本と韓国の2カ国を対象として実施する。すでに議会での承認は受けており、7月上旬にも正式発表される見通し。まずは試行期間として1年間実施し、観光客数の増加など、観光振興に対する一定の効果が見られた場合は継続してビザ免除を行う方針だ。
今回のビザ緩和の決定方針を受けて、ミャンマー観光連盟は、日本での観光誘致活動を強化する。手始めに日本でのプロモーションを強化を目的に、日本の観光産業で豊富な経験を持つ奥田重彦氏をPRエージェントに指名した。また、6月末には東京、名古屋、大阪、福岡の全国4カ所でセミナーとワークショップを開催した。今回はミャンマーから宿泊施設やランドオペレーターなど13社が来日。旅行会社に対して、ミャンマーの最新観光情報の提供を行った。
今回のミッションの団長を務めたミャンマー観光連盟のマウンマウンスウェ副会長(エスエムツアー&トランスポート代表)は「現在、日本からは年間約9万5000人がミャンマーを訪れている。今回のビザ緩和を受けて、もっと増えるのではないかと期待している。隣国のタイには、年間150万人の日本人が訪れている。ミャンマーにも、多くの日本人を誘致することができる潜在性は持っているはずだ」と強調。今後も、日本でのプロモーション活動を積極的に展開していく姿勢を示した。
セミナーでは、経済の中心都市であるヤンゴンや国際空港のあるマンダレー、歴史遺産が数多く存在するパガンに加え、今後の注目観光スポットとして、幻想的な風景が広がるインレー湖や、トリップアドバイザーでアジアのベストビーチとして紹介されたガパンビーチを紹介した。
このうちガパンビーチのあるラカイン州は最近までロヒンギャ難民の問題で危険情報が発出されていたが、このほど危険情報がレベル1に引き下げられた。そうしたことから、ツアー造成の目玉として注目のエリアであるとアピールした。
このほか、宿泊施設についてもミャンマーがかつて英国の植民地だった背景もあり、欧米からの一定数の観光客が訪れていることなどから、欧米発のグローバルブランドの宿泊施設が数多く進出している。また、空港からヤンゴン市街地へのアクセスバスも開業したほか、オープントップバスによる観光も始まるなど、観光インフラについても急ピッチで整備が進んでいることを説明した。
直行便就航のANA、レジャー客獲得積極化
主要観光地への接続円滑化、搭乗者限定特典も
また、日本からミャンマーへの直行便を就航している全日空(ANA)も今回の観光ビザ緩和を機に、レジャー客獲得に向けた取り組みを積極化する。ANAは現在、成田−ヤンゴン間をデイリー運航している。機材はボーイング767-300型機を使用。座席数はビジネス、エコノミークラスあわせて202席となっている。
今回のセミナーにあわせて来日したANAの鈴木康之ヤンゴン支店長は「現在の成田−ヤンゴン線は8割がビジネス目的の旅客となっている」と説明した。そうした中で、今後のビザ緩和を見据えてレジャー旅客を一層取り組んでいくためにさまざまな取り組みを進めている。
具体的にはヤンゴンからのミャンマー各地への乗り継ぎ至便性の向上に取り組む。鈴木支店長によると「現在、首都のネピトーや主要都市の1つであるマンダレーについては当日接続が可能となっている。今後はレジャー客の需要が高いパガンについても、ミャンマーの国内線運航会社に対して、パガンへの同日乗り継ぎを実現できるよう交渉を進めていく」とした。
このほか、「4月〜10月に関しては、比較的座席が確保しやすい」ことからグループ客の獲得にも力を入れていく方針。同時期は一般的には雨期となるが「パガン以北の地域は雨期がないため、比較的ミャンマー観光に適している」と鈴木支店長はこのように話す。また、来年3月末までヤンゴン空港第1ターミナルラウンジ内にあるスパでのマッサージをANA便搭乗客限定で半額で受けることができる特別サービスも実施。これらの取り組みを通じて、レジャー客の需要開拓につなげていく考えだ。
※写真=ミャンマー観光連盟のマウンマウンスウェ副会長