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2020.07.21

WING

座席数回復基調も肝心の航空需要付いて来ず?

新型コロナ感染再拡大で需要回復に弱含み

 世界各地における経済活動再開に伴って、世界各地の航空会社は手探り状態ではあるものの、段階的に座席供給量(キャパシティ)の回復へと舵を切っている。ただ、どうやら肝心要の需要が追いついてきていないようだ。フライトステータスなどの提供する英国OAGは、今週の提供座席数が前週比3.5%増加する5600万席弱となるとの見通しを明らかにした。しかしながらOAGのジョン・グラント氏は「キャパシティ(提供座席数)の回復は明らかにポジティブなものとなっているが、一方で多くの市場において持続的な需要回復に対する懸念が高まっている」との見方を示した。
 OAGの分析では、新型コロナ危機が発生した1月20日の週から数えて26週目にあたる先週、世界の航空会社が供給する提供座席数は週あたり5000万席の大台を回復。ようやく1996年の水準にまで業界が戻ってきたかたちだ。
 ただ、グラント氏は「市場が再開された後には需要の急増がみられたものの、残念ながらその需要の回復期間よりも新型コロナウイルス感染拡大の第2波の方が長く続く可能性があることが今では一般的な見方だ」とし、今週も堅調な座席数の伸びがみられたものの、一方で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、むしろ悪化の一途を辿っていることもあって、需要の伸びは供給量拡大をキャッチアップしてはいないことに触れた。
 ちなみに1月20日の週から数えて28週目となる来週は、「通常ならばキャパシティのピークとなるサマータイムの週となるはずだった」とし、「現段階において来週のキャパシティは6060万席が計画されている」ことを明かした。ただ、「多少のキャパシティの落ち込みを考慮すれば、約5900万席くらいとなるだろう」とし、週あたり6000万席台を回復することは、どうやらもう少し時間を要することになりそうだ。

 

中南米・アフリカのキャパシティ回復に顕著な遅れ
北東アジアは110万席、西欧は40万席追加も

 

国内線キャパシティ回復は国際線2倍に
米系4社、現段階で冬期国際線は通常の半分

 

※写真=夏の旅行シーズンを迎え世界の航空会社はキャパシティを増加してきたが一方で新型コロナ感染拡大に歯止めがかからず、肝心の需要は思うように伸びてこないようだ(提供:OAG)

※グラフ=1月20日の週以降のキャパシティ動向(提供:OAG)