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2020.07.27

WING

ジャムコ、感染症対策の客室プロダクトを開発・提案

ウィズ・コロナ時代対応で旅客に安全安心提供

 ジャムコが、ウィズ・コロナ時代を見据えた航空業界の”ニューノーマル”の確立に向けて、感染症対策を施した様々な客室内装品を開発・提案中だ。例えば、各座席の列同士、あるいは隣同士の座席を仕切ることができるディバイダーのほか、紫外線や触媒を利用してラバトリーやギャレー、座席を除菌するプロダクトなどを提案している。
 「Project Blue SKY」---。コロナ禍にあって、ジャムコが今年4月から国内外を含め、全社的に進めている航空機客室感染症対策プロジェクトの名称だ。その名付け親でもある粕谷寿久取締役(常務執行役員)は、「空はクリーンなイメージであり、航空機に搭乗する旅客が清潔感を感じることができるイメージとした」と話し、その由来を明かした。
 トータル・インテリア・インテグレーターを掲げるジャムコが取り組む同プロジェクトには、実に多彩なアイデアがぎっしりと詰まっている。これまでにいくつものアイデアが各部署から挙がってきており、航空機内送品・機器事業本部プロダクトイノベーション室(大栗強室長)が取りまとめている。このプロダクトイノベーション室と各現場の間では、毎週のように様々なアイデアについて、議論が交わされているという。

 

座席列毎に透明な仕切り板提案
クラスディバイダーを応用

 

 そうした様々なアイデアの中の一つが、先に触れたディバイダーだ。これはジャムコ・アメリカが開発に取り組んでいるもので、前後の座席列の”仕切り”となるものだ。
 コロナ禍にあって旅客が航空機利用に際して最も懸念していることは言うまでもなく機内感染。国際航空運送協会(IATA)が実施した調査でも、やはり機内の3密状態を懸念する声が挙がっており、コロナ感染が一向に収束に向かわないなか、利用者の不安心理は日に日に大きくなる一方だ。
 IATAや各航空会社、そして機体メーカーが言うように、客室内空気は2分~3分で全て入れ替わることに加えて、それらの空気は病院の手術室などにも用いられている高性能なHEPAフィルターを通して除菌されていることのほか、客室内の空気の流れはあくまで上から下方へ流れ、側壁脇から機外へ排出するなど、もともと機内感染しにくい仕組みが整っている。
 ただ、こうした点を航空会社や機体メーカーが様々なツールを通じて安全性をいくら強調しようと、旅客の不安心理は膨らんでいる様相で、IATAなどの調査結果をみても、自信を持って航空機を利用すると回答する利用者は、ごく少数に留まっている。つまり、旅客需要回復の鍵は、見た目にも利用者に安心感を与えることができる感染症対策を施した客室プロダクトを設置することなのかもしれない。
 そうしたなかジャムコはディバイダーを航空会社に提案することで、新たなソリューションを提案した。・・・

 

前後列のみならず隣席用ディバイダーも
ディバイダーは3ヵ月~半年で実装可能

 

既存ラバトリーにもジャムコのアイデアがぎっしり
タッチレス蛇口や足踏み式のゴミ箱開閉など

 

恒久的な対策、静電スプレーや紫外線が有望
除菌・殺菌の自動化で高効率オペレーションに寄与

 

光や温度触媒、表面処理の抗菌効果に期待

 

コロナ対策で客室の貨物改修キット販売

 

※画像=最もタッチポイントが多いところが座席だ。ジャムコは紫外線を照射して除菌・殺菌するシートを提案している(提供:ジャムコ)

※画像=扇型にディバイダーを広げることで旅客が最も気にする隣席との間も仕切ることができる(提供:ジャムコ)

※画像=ジャムコが得意とするギャレーでも紫外線。客室乗務員、旅客の感染症対策に(提供:ジャムコ)

※画像=紫外線を照射するラバトリー。機内の感染症対策においてラバトリーの対策は必須(提供:ジャムコ)

※写真=今年4月に発足した「Project Blue SKY」。その名付け親である粕谷取締役(左)とプロダクトイノベーション室の大栗室長