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2018.07.03

WING

日米防衛相会談、回数重ね強固な日米同盟強調

北朝鮮問題、米側外交努力をサポートへ

 

 小野寺五典防衛大臣とジェームズ・マティス米国防長官は6月29日、防衛省で日米防衛相会談を行った。冒頭、小野寺大臣から同会談が3ヵ月以内にこれで5度目となることを指摘されると、マティス長官から協議が緊密に継続されていると歓迎。日米同盟の強固な関係を強調した。会談では主に、北朝鮮問題に関する今後の取組みや、インド太平洋地域の安定に向けた日米同盟のあり方に焦点が絞られた。特に中止としている米韓共同演習と、在韓米軍については、地域の安定のために今後も重要視する見解ながら、外交による北朝鮮問題の解決のため、演習の中止措置などに一定の理解を示した。
 会談後の大臣共同会見では、小野寺大臣、マティス長官が会談の成果について説明した。北朝鮮問題への対応について、小野寺大臣は防衛当局間の認識・方針をすり合わせ、国連安保理決議に従って、北朝鮮による生物および化学兵器を含む全大量破壊兵器と、あらゆる射程の弾道ミサイルについて、「完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄実現のため、日米で国際社会と連携して取組む」と説明した。さらに北朝鮮の「瀬取り」については、引き続き日米で、有志国と連携して取組むことを確認したとのこと。また、日本の防衛について改めて確約が示されたとして、「日米共同訓練を着実に実施して、同盟の抑止力・対処力を強化していく」ことで一致したという。
 マティス長官は、6月12日に行われた米朝首脳会談に言及し、ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長との間で署名された合意内容について、足並みをそろえたかたちで、米国の外交官たちが「しっかりとリードを果たしている」と説明した。外交によって合意内容の実現に力を入れる一方で、米軍と同盟国が冷静に現状を見守り、制裁措置と国連安保理決議をサポートしていく考えを示した。その上で、日本によるパートナーとしての制裁措置の協力に感謝の意を述べた。さらに米国として、日本の拉致問題について重要性を認識していることを強調した。トランプ大統領が前回首脳会談で、同問題を指摘していたとして「人道的な課題であり、常に協議の中において含まれる課題」だと説明した。
 また、マティス長官は、米韓共同軍事演習の一時停止に関して、米国の外交官により「朝鮮半島において平和的な解決をもたらすための展望を高めるために下された決定」だと語った。その上で、強固かつ連携のとれた防衛の立場を維持し続けることで、外交での解決が「疑問の余地のない、非常に強い力に裏打ちされた立場から交渉できる」と、外交のサポートとして効果を発揮していく考えを示した。そして改めて北朝鮮問題の目標が、北朝鮮の核および弾道ミサイルプログラムについて、完全かつ、不可逆的で、検証可能な解体にあるとし、慎重に注意を向けていることを説明した。

 

尖閣に日米安保条約第5条適用を再確認
中国は競合相手として共存、インド太平洋発展へ

 

 小野寺大臣は、マティス長官による中国訪問の結果について協議を行ったとして、中国への対応について「率直な意見交換を行った」と説明した。日米として、東シナ海や南シナ海情勢への認識を共有し、さらには「尖閣諸島に日米安保条約第5条が適用されることを再確認したと強調した。
 一方マティス長官は、米国にとって中国との関係が「いかなるかたちで競合相手として共存できるかという、能力によって規定されるもの」だと説明した。米国と中国は、連携・協力が可能な分野と、可能な時には連携を図るとし、競争が必要な分野では、最善の力で競合することになるとした。そのため、同地域にあるすべての国の長期的な平和と繁栄のため「すべての国家と連携していきたい」との考えを述べた。その上で日本とともに、長期的な平和、安全保障、全国家の主権と領土的な完全性を尊重するとして、引き続き、インド太平洋諸国の安定性と経済的繁栄のため、力を入れるとした。
 マティス長官はさらに、先月にシンガポールで開催されたシャングリラ会合で、全国家が主権と独立により安全で繁栄のある自由なインド太平洋地域のビジョンについて説明したと言及した。そのため、国防長官として、インド太平洋地域を訪問したのは今回で7度目になるとし、米国として「米軍と自衛隊の関係に戦略的な優先順位を与えていることを反映したもの」だと話した。そのため、日米同盟はインド太平洋地域の安定性の礎だとし、日米双方が「日米同盟の能力を高め、そして両国の連携を深化させ、かつ地域の安全保障を高める機会について同意した」と述べた。

 

FMS関係改善に進展、日米とも歓迎

 

また小野寺大臣は、対外有償軍事援助(FMS)について議論を行ったとし「関係する諸課題への改善に進捗が見られることを確認し、引き続き日米が協力して取組むことを確認した」と述べた。
 マティス長官も、FMSについて日米間で前進が見られるとし、日米両国によるFMSプロセスの改善が進んでいることを歓迎した。また同時に、米国が限られた国のみしか共有していない軍事的な最先端情報を守ることについて、併せて行うことになるとした。

※写真=会談の前に記念品を交換(代表撮影)