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2020.08.03

WING

ロシア、ルン型エクラノプランを博物館へ輸送

ダゲスタンのパトリオットパークで展示へ

 ロシア国防省は7月31日(ロシア現地時間)、プロジェクト903「ルン」型エクラノプランをロシア・ダゲスタン共和国デルベントのパトリオットパークに展示するため輸送したと発表した。輸送後の「ルン」型は、デルベントのパトリオットパークにおける中心的な展示物になるという。
 エクラノプランとは旧ソヴィエト連邦で開発した地面効果翼機(WIG)の総称で、「ルン」型はその中でも対艦ミサイルを6基搭載した大型対艦攻撃機。8発のジェットエンジンを備え、全長は約73メートル、全幅約19メートルにもなる。
 ソ連末期に開発・製造された「ルン」型は、その高速性とレーダーに映りにくいことを利用して米空母機動部隊に接近し、対艦ミサイルで米空母を攻撃することを目的としていたという。最終的に8機の建造が計画されたものの、完成したのは今回輸送した機体のみ。完成した機体はカスピ小艦隊に配備し、試験を行った上で運用していたが、ソ連崩壊を経て近年では予備役状態にあった。他国では大型の実用WIGの建造はなく、正に世界で唯一の機体となっている。
 カスピ小艦隊は輸送に際して、タグボート3隻とエスコートシップ2隻、40名の人員を割り当て作業を実施。輸送準備に丸1日、海上の曳航には14時間かかったという。

 

※写真=カスピ海に浮かぶ「ルン」型エクラノプラン。冷戦時、西側はエクラノプラを「カスピ海の怪物」と呼んだ(提供:ロシア国防省)

※写真=曳航中の「ルン」型。6発の対艦ミサイルを背中に背負っている(提供:ロシア国防省)