WING
新型コロナ禍で迎える夏季繁忙期、予約は超低空飛行
国際は大幅減便、国内供給戻すも旅行マインド低迷鮮明
新型コロナ禍のなか、いよいよお盆を含めた夏季繁忙期(8月7日~16日:10日間)を迎えようとしている。本来ならば旺盛な需要に沸き、年間を通して最大の商戦となる時期だが、今年の夏の航空業界はかつてない厳しい冷夏となりそうだ。
国際線は各国の厳しい出入国規制が続き、ほぼ完全に需要が沈黙。運休・減便が相次ぎ、提供座席数が大幅に削減され予約も低迷している。一方の国内線は、緊急事態宣言の解除など、一時は感染者数が減少してきたことから夏の旅行シーズンに大いに期待が集まったものの、夏本番を前にした7月上旬から感染者数が急増。これにより期待された夏の旅行・帰省需要は、音を立てて崩れていってしまった。
日を重ねる毎に列島各地の新規感染者数が膨れ上がっており、現状、利用者の旅行マインドは冷え込んでいる。航空会社関係者からも悲鳴が聞こえてきているが、状況改善の兆しすら見えてきていない。
各社は一時、夏の需要を見込んで国内線の便数を拡大してきたが、状況は悪化の一途を辿っており、一部ではお盆期間を含めた夏季繁忙期の便数削減に乗り出す動きもみえてきている。
通常の夏ならば駆け込み需要で予約数を伸ばすことが常だが、今年は感染拡大で予約の伸び悩み、あるいはキャンセルの多発も懸念されるところ。今後の予約動向次第では、航空会社は直前になって減便に踏み切らざるを得ない状況だ。
7月31日に航空各社が発表した夏季繁忙期予約状況のうち、本邦大手航空会社2社(ANA、JAL)の予約状況をみてみると、ANAの国際線予約数は前年比96.3%減少し、わずか1万1439名に。提供座席数は87.7%減少した4万6339席に留まる。
なかでもA380を投入するなど、期待のANA期待のハワイ線に至っては運航することすらできず、ANAのA380二度目の今夏は提供座席数、予約数ともに「ゼロ」に終わることになってしまった。
一方、JALの国際線予約数も96.9%減の8459名と厳しい。提供座席数も89.7%減少した3万1994席にまで落ち込むことを計画している。・・・
低運賃ウリのLCC、需要崩壊の夏で苦境に
ピーチは全便再開も予約率38.7%など
中堅航空会社の予約も大幅減
新路線開設など供給拡大が一部で足枷
※写真=夏季繁忙期の需要は冷え込み、航空会社は厳しい夏に
■ANA、夏繁忙期国際線予約数は96.3%減
コロナ影響で需要激減、国内線予約も64.8%減
※写真=厳しい出入国規制によりANAの国際線は路線ネットワークが崩壊したまま。夏の旅行需要を期待した国内線も感染再拡大で予約が伸び悩む
■JAL夏季繁忙期、国際・国内で戻らない需要
減便継続も国際線予約率26.4%、予約1万人割れ
※写真=いぜんコロナの厳しい状況続く夏季繁忙期。国内線はある程度回復したものの、国際線は晴れ間も見えない